暴力沙汰や危険行為好む男性=女性人口増の裏にマチズモ文化

マッチョな男性のイメージ(参考写真、写真AC、acworks)
マッチョな男性のイメージ(参考写真、写真AC、acworks)

 「ブラジル人口で男性が少ないのは、若者が暴力や事故に巻き込まれやすいから」――その裏にはマチズモ(男性優位主義)文化があり、若者ほど危険をかえりみない傾向があるために命を失いやすく、それが人口動態にも表れていると、27日付エスタード紙サイト(1)が報じている。
 ブラジルでは年齢層別の男女比を見ると、出生から24歳までは男性の比率が高いが、25歳を越えると逆転する。
 「生まれてくる子供は男子の方が多いが、若い頃に亡くなるのも男子の方が多い。ブラジルでは男性の死亡率が非常に高く、女性のそれをはるかに上回っている」と、地理統計院の人口統計学者イザベル・ギマランイス・マリ氏は言う。
 「この若い成人男性の死因は、暴力や事故などの外部からの不自然な要因が多く、20〜40歳の男性の間で、女性よりもその傾向が顕著に見られる」と説明した。
 地理統計院(IBGE)が2022年に発表した国勢調査によれば、ブラジル人口の51・5%(1億454万8325人)が女性であるのに対し、男性は48・5%(9853万2431人)で、約600万人も女性の方が多い。
 男女比(女性100人に対する男性の数)では、10年の96から22年には94・2に減少した。特に南東部は男性比率が最も低く、22年は92・9を記録。一方、北部では99・7と男女比が少ない。
 一般的に、世界中で女性の平均寿命は男性よりも長い。これは、女性が自分の体を大切にし、食事に気を遣い、医者に診てもらう回数が多いためとされている。どこの国でも65歳以上の年齢層では、女性の方が多い傾向にある。
 「どこの国においても、女性よりも男性が3〜5%多く生まれる。これは普遍的な現象だ」と人口統計学者で社会学者のジョゼ・エウスタキオ・ディニス氏は説明する。
 一方、全世界の統計データによると、ピラミッドの頂点に立つのは常に男性ではなく女性である。この差は一般的に50歳から60歳から現れ始めが、ブラジルではすでに25歳からみられている。
 ディニス氏によれば、暴力の問題に加えて、男性にリスクを背負わせるマチズモの存在があると言う。「このマチズモ文化は、スポーツイベントなどにおける応援団闘争、飲み屋での喧嘩、慎重さを欠いた運転などを助長する。男性がリスクを冒すことを良しとする社会的風潮が、自己管理を怠る原因となる」と分析している。
 また人口の高齢化プロセスは、単なる人口の女性化だけでなく、女性の地位強化を伴っていると指摘する。「女性の教育水準が向上したという事実は、ブラジルの歴史において新たな展望をもたらしている。100年前まで、女性はほとんど読み書きができず、有給の仕事を持たないことが一般的だった」と述べた。

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