ユネスコ世界遺産登録に登録されている、ブラジル北東部バイア州サルバドール市の歴史地区ペロウリーニョ。その中心部ラランジェイラス街30番地に本部を構える文化団体「オロドゥン」が40周年を迎えた。黒人の才能開花を目指すプロジェトとして1983年に誕生。アフリカ系ブラジル人の芸術や文化の普及と教育を推進し、多くの若者に多様な機会を提供してきた。1日付テラ・サイト(1)が報じている。
オロドゥンの教育プロジェウトはアフロ・ブラジル文化を表現する音楽、ダンス、歌を通して、反人種主義教育の先駆的役割を果たし、40年間で3万5千人以上の若者に影響を与えてきた。
同団体は79年に設立された黒人サンバチームが始まりで、現在7歳から29歳の850人の生徒を受け入れている。ほとんどが同市郊外の貧困地域から来ており、社会的脆弱性が深刻視されている。
10月25日、オロドゥン40周年を祝う大型ストリート・ミュージカルショー「ジアマンテス・ダ・シダダニア(市民のダイヤモンド)」が開催され、ペロウリーニョの広場を多くの観客が埋め尽くした。観客らは歴史的建造物を練り歩くアーティストたちの太鼓の力強いビートを感じ、「言葉で表現できないほどの感動を覚えた」と感想を述べる。
太鼓演奏、歌、ダンスのパフォーマンスが交互に披露され、祖先への敬意を表しながらアフロ・ブラジルの歴史が語られた。黒人の抵抗の歴史や人種差別犯罪への抗議についての寸劇も行われた。
オープニングで会長ジョルジ・リカルド・ロドリゲス氏が創設以来の功績を強調。「ここでは人々に夢を与え、翼を持ち、飛ぶことを教える。80年代、私たちは社会から疎外されていると考えていた。オロドゥンの生徒であることは、帰る場所や力を持つことを意味する」と功績を強調した。
教育プロジェクトの総監リンダ・ローザ・ロドリゲス氏は「教育し、意識を高め、力を与え、生徒たちがこの過程で磨いた才能を発揮できる環境を作り出す」と述べた。
11歳の生徒エンゾくんの母親は、「オロドゥンは規律を重んじ、良い行動を求め、多くの学びと文化を提供してくれる」と話す。太鼓教師のジェラルド・マルケス氏(32)は、生徒のアイデンティティを強化する学校の役割を強調。「ここでの経験はスキルと能力を向上させ、社会と職業の分野で応用できる。オロドゥンは私の芸術と文化のキャリアの扉を開いてくれた。私は地域社会に貢献し、若者育成における役割を自覚している」と述べた。
学校書記を務めるナイアネ・ボンフィン氏(32)は、アフロ系音楽とダンスを学び、授業で人種差別や歴史を学んだ。「私は強い女性になり、好きなところへ行き、大学院にも進学し、希望する職業に就くことができる。オロドゥンでの経験は私にとって女性としてもプロフェッショナルとしても重要だった」と強調した。
広告業者で音楽家のタイス・サントス氏(35)は、「自己評価が低い人や、自分がどの世界に属しているのかを理解していない人が学校に来ていた」と振り返る。「学校が子供の道を開き、救ってくれる。子どもは成長し、抵抗できる黒人として自分たちを認識する」と話す。