リオ・デ・ジャネイロ州で「アカラジェ」の生産と商業化を、州歴史文化遺産とみなす法案が承認され、SNS上で論争を巻き起こし、バイア州民に不快感を与えている。10月31日付テラ・サイトなど(1)(2)が報じている。
アフリカに起源を持つアカラジェは、一般的には「バイア州の郷土料理」として有名。ササゲ豆から作られる生地をデンデ油(アブラヤシの油)で揚げたもので、ヴァタパ(粉末キャッサバ、エビ、ココナッツミルクなどをすりつぶしてペースト状にしたもの)、カルル(オクラ、タマネギ、エビなどを煮詰めたシチュー)、エビ、トマトのサラダ、唐辛子と一緒に食べる。
伝統的衣装に身を包んだバイア州民女性「バイアーナ」が屋台で販売し、「バイアーナのアカラジェ」と呼ばれてバイア州の人気観光名物となっている。
この料理をリオ州の歴史文化遺産とみなす法案10・157/23が、レナタ・ソウザ下議(社会主義自由党・PSOL)、ダニ・モンテイロ下議(PSOL)、アチラ・ヌネス下議(民主運動・MDB)により作成され、クラウジオ・カストロ州知事により承認され、10月25日付の官報に掲載された。
リオ州の文化遺産化に対してSNS上では異論があがり、「バイアーナの伝統的な技術というのは理解できるが、アカラジェの認定とは別物だ。規制する必要がある」「バイアの伝統料理として全国的に認知されている食べ物なのに、リオの遺産とはなぜ?」との疑問の声がフォロワーから寄せられ、「アカラジェはバイアの名物だ」というコメントが多く見られた。
一方、バイア州議会はアカラジェを同州文化遺産とする法案を提出した。これはアントニオ・エンリケ・ジュニオール州議(進歩党・PP)によるもので「アカラジェはバイアの日常生活と直接関連し、仕事の後や家に帰る途中、昼下がり、ビーチ、祭り、市広場などで消費され、ネットワーク、人脈、グループの出会いの場を提供している」と述べた。
同議員は「バイアーナによるアカラジェの販売は、世代から世代へと受け継がれる古い伝統であり、多くの家族の生計を支えている。この料理の文化に対する適切な認識と保存の必要性を認識し、この仕事の知識を文化遺産として保護するプロセスは、社会的に多くの参加者によって構築されるべきである」と主張した。
バイア州芸術文化遺産研究所(IPAC)はインスタグラムで、アカラジェを作るバイアーナたちの仕事は、2012年以来、バイア州の無形遺産として認識されているが、アカラジェ自体は法的な保護は未だなされていないと説明した。
「この職業に関わる民衆の伝統的な慣習や知識を保存・認識して評価する上で、重要な一歩を踏み出したことを象徴している。路上販売は、解放された奴隷や女性が屋台を運営して自立し、またアフリカ系の宗教を基礎とするカンドンブレの寺院で宗教的義務を果たすことを可能にした」と投稿している。