世界で最も名誉ある教育賞「世界のベストスクール2023」が4日発表され、ブラジルの二つの公立学校が受賞した。同日付UOLサイトなど(1)(2)(3)が報じている。
この賞は、生徒の生活を変え、学校がある地域社会に変化をもたらす優れた実践を共有することを目的として、教育関連の活動を支援・提供するためのプラットフォーム「T4 Education」がレマン財団の支援を受けて2022年に創設。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の指針に沿って5部門に分けられ、各々1校が受賞し、賞金5万米ドルが授与される。世界中から108カ国から参加した。
ブラジル北東部セアラ州カルナウバル市にあるジョアキン・バストス・ゴンサルヴェス州立校は、「健康的な生活支援」部門で最優秀教育機関として選ばれ、トップ5に入った。ブラジルで公立校は一般にレベルが低いと言われるが、同州だけは例外で非常に好成績を上げている。
同校はパンデミックで生徒数67%減少に苦しみ、「アドチ・アルーノ(生徒の養子縁組)」という支援プロジェクトを始めた。これは精神的問題を抱える生徒を支援するもの。「支援を受けた生徒たちは自尊心と幸福感の改善が見られ、その結果、学業成績が向上し新たな希望が持てるようになった」と説明する。
米国と英国の学校も同じ部門で競い合ったが、同校がより優れていると見なされた。
一方、ミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテ市のプロフェッソール・エジソン・ピサーニ市立校は、今年新たに加わった「コミュニティ・チョイス」部門で受賞し、地域に根付いた学校として評価された。これは一般投票において最終選考に残った全学校の中で、最多得票を獲得した学校に贈られる特別賞だ。
同校は、地域社会との強力な連携が評価された。ミナス・ジェライス州内で最大のスラム地域の一つに位置し、同地域に影響を及ぼす教育プロジェクトを展開した。
その一つが公共交通機関の料金を廃止し、市民に無料で提供することを提唱する「タリファ・ゼロ運動」とのパートナーシップだ。同校は地域社会と協力し、4千人以上の署名を集めた。「2年間の闘争の末、スラム地域と地下鉄を結ぶバス路線が開設でき、医療、教育、雇用へのアクセスが向上した」と説明する。同校は「地域社会との協力」部門に参加していたが、優勝は南アフリカの学校だった。
レマン財団のデニズ・ミズネ代表は「質の高い教育こそが、社会の深刻な課題に立ち向かう方法であり、ブラジル人にとり、より公平な未来に希望を見出せる。こうした学校がある限り、我々は良くなると確信している」と述べた。