毎朝主人の墓参りをする忠犬=遺影見つめ思い出に寄り添う

アデマールさんが眠る墓で写真を見つめるブランキーニョ(3日付テラ・サイトの記事の一部)
アデマールさんが眠る墓で写真を見つめるブランキーニョ(3日付テラ・サイトの記事の一部)

 「まるでブラジル版忠犬ハチ公」――リオ・グランデ・ド・スル州にある小さな町サンタクララ・ド・スルで、ある男性とその飼い犬との固い絆の物語が、周辺住民の間で静かな感動を広げていると2日付G1サイトなど(1)(2)(3)が紹介している。
 「ブランキーニョ(白チビ)」と名付けられた雑種犬と飼い主アデマール・セイデルさんは長年、切っても切れない〝家族〟だった。この特別な絆はアデマールさんが2020年に他界した後も途切れず、ブランキーニョは毎日主人の墓参りを続けている。
 野良犬だったブランキーニョはセイデル家の一員として迎え入れられ、〝家族〟として多くの困難に立ち向かい、忘れられない瞬間を共有してきた。特にある出来事が二人の絆を特別なものにした。
 ここは19世紀末にイタリア系やドイツ系など欧州系移民が入植して作られた、人口7千人未満の閑静な農村だ。
 ある日、雄牛がアデマールさんに襲いかかろうとしたとき、ブランキーニョは躊躇することなく牛に果敢に立ち向かい、主人を無傷で助けた。この勇敢な行動により、ブランキーニョはセイデル家の真のヒーローとなった。
 しかし2020年11月、ブランキーニョが15歳のとき、アデマールさんが亡くなった。遺族は彼が所有していたトラクターを売却することにした。だがブランキーニョは主人との最後の物理的な結びつきを断ち切るのを嫌がるように、トラクターが置かれた倉庫で3日間そばを離れなかった。
 隣人のアネリゼ・ビジンゲルさんは、「庭でトラクターを走らせると、ブランキーニョは後を追って走っていた」と話し、主人との思い出に寄り添おうとする忠犬の心には目を見張るものがあったと振り返る。
 ブランキーニョはこれに留まらず、目撃したすべての人の心を揺さぶるようなことを始めた。忠犬は毎日休むことなく、朝6時頃に墓地へ一人で向かう。そこでアデマールさんの墓を訪れ、そこに設置された主人の遺影を何時間も見ながら立ち続ける。彼の毎朝の儀式は、主人に寄り添い、まるで敬意を表しているかのように姿を見つめることだ。
 アデマールさんの妻クレアさんは、「ブランキーニョの忠誠心は比類のないものであり、主人との思い出を守り続けようとする彼の強い願いは目を見張るものがある」と、感情を込めて語る。
 現在、ブランキーニョの日課を共にする栄誉を持つのは、アデマールさんの娘婿であるファビアーノさんだ。「ブランキーニョは朝、門の前で僕を待っていてくれるんだ。だから一緒に走るよ」と彼は語る。
 ファビアーノさんとブランキーニョの間には、新たな絆が生まれつつある。

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