フラヴィオ・ジノ法相が7日、「ブラジル人にはポルトガルを〝侵略〟する権利があり、ポルトガルはブラジルに金を返還すべきだ」とコメントしたと、8日付エスタード紙(1)が報じた。
これは本紙9日付《ポルトガル=「この豚」とブラジル人差別=移民増加で苛立つ国民》(2)でも報じた、ポルトガルの国際空港で6日、同国人女性がブラジル人女性に「この豚」「侵略者」と叫ぶ姿がSNSで拡散した件に関して、法相が過激に反発した発言だ。
ジノ法相は皮肉交じりに、ポルトガル人が1500年以降に植民地だったブラジルを「侵略」した歴史を挙げ、「外交の相互性」の観点から、ブラジル人にも同様の権利があると主張した。さらにジノ氏は「ポルトガルがミナス・ジェライス州で掘り出した金を返してくれれば、我々は喜んでポルトガルにいるブラジル人を帰国させる」と冗談めかして発言した。
ジノ氏はこれらの発言を、市民権を伴う国家公安プログラムである「ボルサ・フォルマソン」のコースの立ち上げ式の最中に公式に行った。同氏は最高裁判事の空席に就く可能性があると見られているが、最近ではこのような失言から競争力を失いつつある。
9月には、同氏はブラジルが国際刑事裁判所(ICC)の管轄下に入ることを取りやめる可能性を示唆し、米国のような大国の不加盟が「不均衡」を生んでいると主張していた。
ジノ氏の発言を受け、8日付フォーリ紙(3)では、ブラジル・ポルトガル商工会議所のジョゼ・マヌエル・ジオゴ理事が「金の返還を求めることは、ポルトガルに住む60万人のブラジル人の役に立たない」「公人が不必要な論争を煽らないことが重要だ」と諫める意見がコラムで掲載された。
ポルトガルで発生した差別的な言動は、ブラジル人移民の受け入れプロセスにまだ多くの改善が必要であることを示しており、両国政府は、教育と文化政策への投資を通じて他国の文化を尊重し、共感を育むために努めるべきだと、同氏は主張している。
同時に、公の人物は不必要な論争を煽るべきではないとし、政治家は慎重に言葉を選ぶべきだと指摘している。政治的な対話において常に冷静な態度を保つべきであり、過去の出来事が現在や未来に悪影響を与えないよう努力すべきだとの意見が述べられている。