ネパール人と覗いた中東の小国カタール〈13〉=外国人労働者が人口の9割の国=今年3月頃からブラジル産牛肉が目立ち始めたカタール

 2022年の日本からカタールへの輸出は1640億円、カタールから日本への輸入は1兆7390億円とカタールが圧倒的な貿易黒字である。
 他方、2022年のブラジルからカタールへの輸出は約600億円、カタールからブラジルへの輸入は約1760億円となっている。
 ブラジルからカタールへの輸出品目トップ10の内、5品目は鶏肉や牛肉となっている。
 2023年第1四半期のブラジルからカタールへの輸出総額は2億3160万米ドル(346億円)に達し、牛肉はその約75%(260億円)を占めた。
 2022年にカタールがブラジルから輸入した牛肉は6000トン、3690万米ドル(55億円)。今年2月にパラー州で非定型牛海綿状脳症(狂牛病)の症例が確認され、輸入停止されるまではブラジルからの牛肉輸入量は急増していた。
 ドーハ在住者によれば、今年3月頃からブラジル産牛肉の存在感が大きくなった印象を持っているという。ブラジル産牛肉に限らず、カタールでは牛肉流通が増え、今年からは安いパキスタン産も増えたとのことであった。

バラエティ豊かな食肉や青果の原産国

 カタールのスーパーでは、生鮮食品の原産国がしっかりと明記されている。原産国名には中東やアフリカ諸国を中心にバラエティに富んだ国名が並んでいる。食料自給率は約10%で、食料品は外国からの輸入に頼るしかない。イスラム教国のため、外食も食料品もハラル認証された商品しか販売されていないが、全ての食品の品質がブラジルよりワンランク上のような印象を受けた。
 牛肉の主な原産国は、オーストラリアやニュージーランド、南アフリカ、ブラジル、パキスタン、エジプト、スーダン、オランダ、カタールなどで、ブラジル産牛肉は優良なイメージが持たれているという。
 ブラジル産牛肉は各種部位商品のほかに、牛肉ソーセージやカフタ(アラブの牛肉料理)も販売されていた。
 牛肉と並んで羊肉が食肉売り場のスペースを大きく占めているところに、中東や南アジア出身者の多い同国の食文化を感じさせた。
 WAGYUコーナーも特別に設けられていたが、全てオーストラリア産で、高級な日本産和牛を一般的なスーパーで見かけることはなかった。
 ドーハ市内の和食レストランで日本産ハラル和牛がサービスされていると聞いたが、その客層は大半が裕福なカタール人とのことであった。
 ブラジル産フルーツとして、マンゴー、パパイヤ、マスクメロン、ブドウが店頭に並んでいるのが目に留まった。
 インスタントラーメン売り場には、「ワイワイ」ヌードルが代表的な商品の一つとして並んでいた。「ワイワイ」ヌードルはその創業者がネパール人で、世界的ビリオネアとして知られているという。
 一般のスーパーで、日本食材やアジア各国の食材が国別に陳列販売されているのは、外国人労働者が一般住民の9割を占める同国ならではの光景で、ダイソーや無印良品をショッピングセンターで見かけるとほっとさせられた。(続く、取材:大浦智子)

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