平日の昼下がり、サンパウロ市地下鉄コンソラサオン駅を降りてアウグスト通りを下っていく。夜は若者の通りとして有名だが、昼間は会社員が行き交っている。アントニオ・カルロス通りを右に曲がるとミナス料理レストラン「O MINEIRO PRIME」が見えてきた。店外まで美味しそうな匂いが漂っている。
店に入ると、店員が忙しそうにバーカウンターでドリンクを用意している。バーカウンターに並べられたミナス産のピンガや蒸留酒、ワインを物珍しく眺めていると店長のジョゼ・クラウジオ・ダ・シウバ・ジュニアさんが出迎えてくれた。
ジョゼさんはミナス・ジェライス州セナドール・フィルミーノ市出身。9歳の頃、家族と共にサンパウロ市に移住した。ジョゼさん曰く、仕事を求めてサンパウロ市に来るミネイロ(ミナス州出身者)の多くは、気付けばミナス料理レストランを始めているという。それだけサンパウロ市でのミナス料理需要が高いということらしい。
ジョゼさんは、ジョゼさんの兄が同店の店長をしていたことから、ドリンク作成係として同店で仕事を始めた。勤めはじめて3年経った頃、兄が他店舗に移ることになりジョゼさんが店長を引き継いだ。
ジョゼさんによれば同店の人気メニューはピッカーニャ・デザートセット(3人前、130レアル)だという。ピッカーニャは日本ではイチボと呼ばれる牛の尻肉にあたる部位だ。
お勧めに従い、ピッカーニャ・デザートセットを注文。しばらくすると、脂の焼ける美味しそうな音と香ばしい匂いを漂わせながら、ミナスチーズの乗ったピッカーニャが運ばれてきた。
ピッカーニャは、丁度良い焼き加減でがやわらかい。脂身の部分も多すぎず、食間に付け合わせのマヨネーズサラダとビナグレッチを挟むことで最後まで飽きずに食べることができる。
―来てよかった。平日の昼間にこれを食べられるパウリスタの会社員は幸福である。
デザートはドセ・デ・レイテとバナナスプリットのどちらかを選べる。今回はミナスの定番デザートのドセ・デ・レイテを選んだ。甘くとろけるドセ・デ・レイテをパイ生地で作られた硬くて歯ごたえがいいコーンにつけながら食べるのが癖になる。
ふと店内を見渡すと壁棚に飾られた幾種ものピンガが目に留まった。折角なのでお勧めのピンガを尋ねるとミナス産の「カナリン」と「サリーナス」がお勧めで、カナリンを試飲させてくれた。カナリンは甘くやさしい飲み心地で、さらっと飲めるピンガだった。
気付けば店内は昼食を食べる人でいっぱいになっていた。食事の提供が早く、休み時間に来やすいことも人気な理由の一つだろう。夕食時や休日は観光客も多いという。
今回注文したピッカーニャ・デザートセットのほかにも、ミッシェード・ミネイロやパルミジャーノなども人気で、ピンガもサンパウロ産やバイーア産のものも取り揃えている。口の中に運ぶ度に驚きの美味しさを披露するミナス料理レストラン「O MINEIRO PRIME」。一度訪れてみてはいかがか。
【オ・ミネイロ・プライミ店舗情報】
営業時間:
日~木曜日午前11時~午前0時
金、土曜日午前11時~午前1時
住所:
R. Antônio Carlos, 282 – Consolação, São Paulo – SP
電話:(11)3262―1764
サイト:https://omineiroprime.com.br/