サンパウロ市西部のジャルジンス地区にある2022年末に開店した「花野へ(かのえ)」は、一晩にわずか8人しか客を取らない、完全予約制の日本料理店だ。しかも謎めいた一軒家で提供され、正確な所在地は公表しておらず、当日にのみ秘密裏に知らされる。ここはブラジルで最も高価な日本料理店とされ、人々の関心を惹きつけている。9日付テラ・サイト(1)(2)(3)などが紹介している。
飲み物とサービス料は別で一人あたり1095レアル(約3万3800円)という高額メニューにもかかわらず、2024年1月まで予約でいっぱいだ。
指示された場所に到着しても、看板は見当たらない。黒いファサードの右隅にある鉄の扉をくぐり、受け取ったQRコードをスキャンしてロックを解除すると扉が開かれ、光に包まれた映画のような世界が眼前に広がる。
創業者でシェフのタダシ・シライシ氏が切り盛りし、店内で熟成させた厳選された魚介類と、「日本の輝かしい過去への深い敬愛の念と、現代の日本が持つ新鮮さと若々しいエネルギーを融合させた独自のレシピ」を提供している。
幼い頃から日本料理に親しんできたシライシ氏は、ブラジル生まれでありながら、国内外の日本食界で20年のキャリアを持つ。パリのロイヤル・モンソー、ミュンヘンのマンダリン・オリエンタル、チューリッヒのバウル・オ・ラックなどで腕を磨き、ギリシャのミコノス島とスイスのサンモリッツでは、有名シェフな松久信幸氏のもとで3年間修行した。サンパウロ市の老舗日本料理店「木下」の責任者も務めた。
客は厨房に面したカウンターに座りながら、調理風景を眺められる。営業は火曜日から土曜日の19時から約3時間のみ。同店の公式ウェブサイトには「プライバシー保護のため、レストランにアクセスするための住所とパスワードは、来店の数時間前に予約した客にのみ教えています」とある。
来店が20分以上遅れると自動的にキャンセルされる。「このルールは、当店での完璧な経験を通して、一人ひとりに存分に楽しんでいただけるように存在している」とシライシ氏は説明する。
メニューはおまかせコース一択で全18品提供される。スペイン産マグロ、キャビア、キントキダイ、アジ、ブリ、サワラなどさまざまな味の本格寿司が楽しめる。
詳しくは公式サイト(https://www.exploretock.com/kanoerestaurant)で。