サンパウロ市ヴィラ・オラトリオ地区の閑静な住宅街にある「イメロス邸」と呼ばれる家では、10人の成人向けコンテンツクリエイターが共同生活し、エロティックなシーンを撮影する場所になっている。いわばブラジル版「エロ動画の梁山泊」だ。所有者のネルソン・イメネス氏と妻エスプレッタ・マイア氏によって管理され、住人は家事を分担し、切磋琢磨しながらアダルトコンテンツの制作している。10日付Gサイト(1)が報じた。
「イメロス邸」は一見して一般の住宅と見分けがつかない。住人たちは月2500レアル(7万7000千円)程度の家賃を支払い、整備された技術インフラを使用しアダルトコンテンツを制作している。
イメネス氏はこのプロジェクトを立ち上げ、「制作会社イメネス」のオーナーとして、技術的なサポートを提供する代わりに、制作されたコンテンツの商業管理を行う。プロデューサーとクリエイターの間で、この種の契約はアダルト業界では一般的とのこと。
住人のアリアーニさん(19歳)は、3年間の恋愛関係に終止符を打ち「新しい生活を試してみたかった」との想いで住むようになった。彼女はすでにコンテンツを制作し、市場での人脈が増えると期待してここに移ってきた。
彼女の部屋はアニメのキャラクターで飾られ、有料のビデオチャット「camming」配信時の背景として公開されている。このプラットフォームには性的な内容が含まれる。「相手は私と会話をするためにお金を払っているから、相手の言うことはできるだけ対応する」と彼女は話す。
アダルト向け業界は過去10年で変革し、この種のプラットフォームの成長により、個人が自宅でエロティックなライブ動画やアマチュアコンテンツを制作して収益を上げることが一般的になった。
「イメロス邸」ではこの新トレンドと既存ビジネスモデルを組み合わせて、住人に技術的、法的、管理上のサポートを提供することで、若手クリエイターが成人向けコンテンツ制作で成功する手助けをしている。
女性クリエイターの一人で住人のレディさんは「カメラのポジショニング、マーケティング戦略、クライアントとの付き合い方などたくさんのことを学んだ。クライアントの意見が常に正しいという考え方があるが、アダルト業界ではそうではない。多様な考え方を学んだ」と言う。
この家での仕事が継続的に行われるためには、「住人らは独自のやり方で、好きな時間に物事を行う自主性が必要で、誰からの指示も受けないし、雇用関係にあってはならない」と労働法の弁護士、カルロス・アンビエル氏は説明する。
この家では月曜日から金曜日まで撮影スケジュールが組まれているが、住人はそれに参加する義務はない。また、住人たちは週に一度、性感染症の検査を受け、コンドームの使用は義務付けられているという。
アダルトサイト「Pornhub」では、このプロジェクトのプロデューサーチャンネルの再生回数が200万回を超えている。
もちろん、楽しいことばかりではない。アダルト業界の自由奔放な一面の背後には、収入が容易ではない厳しい現実がある。そんな現実に気づき、安易な発想で参加した人は結局出て行くことになるのだとか。