テイラー・スウィフト=記録的熱波で観客死亡=強盗事件や火傷で混乱

亡くなったアナさん(SNSより複製)
亡くなったアナさん(SNSより複製)

 17日にリオ市ニウトン・サントス・スタジアム(エンジェニャン)で行われた米国人気女性歌手テイラー・スウィフトのコンサートで熱射病での死者が発生。国際的な騒動となった。また、18日の公演が会場に観客が入場した後に突如延期されたり、19、21日にファンが相次いで死亡する事態が続いている。18日付G1サイト(1)などが報じている。南米ではアルゼンチン3回、リオ3回、サンパウロ市3回の9公演で計56万枚の入場券が5カ月前に完売。ブラジルだけで4億レアルの売上が見込まれるショーの規模は「(世界ツアー全体の売上では)数十カ国のGDPを上回る収益を生み出すスターの力を証明している」と17日付ベージャ誌(2)は報じた。
 エンジェニャンでのコンサートは17、18、19日に行われる予定だったが、騒動は初日に始まった。テイラーがこの日の2曲目に歌った「クルーエル・サマー」の演奏中、南マット・グロッソ州から来ていた観客のアナ・クララ・ベネヴィデスさん(23)が気を失い、心肺停止を起こした。彼女は病院に運び込まれたが、蘇生できなかった。
 リオ市ではこの日、歴代でも最高レベルの気温42度を記録。またエンジェニョンは中央のスペースの四方を大きな鉄の壁が囲む構造で風が通りにくく、スタジアム内の体感温度は60度に達していたという。この日はアナさんの他にも1千人近くが救護室に運ばれた。
 さらに、主催のT4F社が会場内への水の持ち込みを禁止していたことにも批判の声が出た。ブラジルのコンサートやフェスティバルでは会場内での飲食売買を促すため、持ち込み禁止が習慣となっているが、記録的な暑さを例外としなかったことが批判の的となった。結局、フラヴィオ・ジノ法相の判断で会場で無料の水を配布することが求められたが、配布された水は常温で、体温を下げる効果はほとんどなかった。
 CNNブラジル(3)が報じているように、翌18日は前日を上回る猛暑で、すでに入場が始まっている段階の午後5時30分頃、この日の公演を20日に延期することが突如決まった。この遅れた発表により、遠隔地から来た人がテレビ取材などで不満を爆発させた。今回のツアーは倍率500倍とも言われ、チケット購入の難しさでも知られていた。
 また、この日の帰りの客を狙って最寄り駅までの間を狙って集団窃盗が発生した。観客が叫び声をあげて逃げ惑い、警察が犯人を追いかける光景が見られた。
 また、19日未明には、この日の公演を見に行く予定だった23歳の男性がコパカバーナ海岸で強盗に襲われ胸などを刺されて死亡した。
 19日の公演では、日中の日差しで加熱した座席で火傷を負う観客が現れ、夜のコンサート中は強い雨が降った。
 振替公演の行われた20日には、メトロポレス(4)が報じたように、アナさんの遺族に連絡をとろうとしないテイラーや興行主T4Fに対してファンが抗議行動を画策したが、アナさんの遺族の意向で止められた。
 テラサイト(5)によると、20日の公演の翌朝の21日には、会場周辺でファンと見られる23歳の男性が意識不明の状態で見つかり、病院に運ばれたが、死亡した。パエス市長によると、男性には既往症があったという。

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