SNS舞台に日本とブラジルを駆け巡る夫婦=4年でフォロワー数123万人=ブラジルで大人気の日本人グチさん

グチさんとエリさん

 わずか4年でSNS総フォロワー数が約123万人と、ブラジルで大成功している日本人と日系3世の夫婦がいる。ユーチューブチャンネル「OlaGUTI」(https://www.youtube.com/@OlaGUTI)を運営する夫グチさん(30歳、香川県出身)と妻エリさん(30歳、3世、サンパウロ州)だ。インターネットを舞台に日本とブラジルを自在に駆け巡って活躍する「現代の日本文化布教使」とも言えそうな夫婦だ。11日にモジ市コクエイラの故郷祭り会場で取材した。

 エリさんは2004年にデカセギに行った両親に連れられて訪日。当初は日本語ができず、公立学校で友達作りが難しく一人でいることが多かったという。一人でも楽しめる趣味としてカメラに興味を持ったところ、両親が誕生日にプレゼントしてくれた。そこからエリさんは写真の世界にのめり込むようになった。
 エリさんが名古屋の旅行代理店で社員として働き、グチさんは大阪で会社員をしていた2015年、二人は偶然出会った。16年にグチさんが転職して東京に転居、17年にエリさんは写真の勉強のためにロンドンに留学。翌18年に二人は結婚した。その結婚前のゴールデンウィークにブラジルの親戚へ挨拶に行った際、グチさんは初めて接した当地に強く興味を持った。二人は19年にユーチューブ開始。グチさんはポルトガル語の勉強も始めた。
 グチさんは「言葉を勉強するうちに、ブラジルに行きたいっていう気持ちが強くなったんです。行くなら、その前にちゃんと日本を見て回っておこうと思い、二人で車中泊の日本旅行を思い立ちました」と振り返る。
 昨年7カ月がかりで北海道から沖縄まで回り、その様子をユーチューブで発信した。行く先々で在日ブラジル人の20~30代の若者にインタビューした。それが評判を呼んで、昨年末までにユーチューブのフォロワー数が約20万人、インスタグラムは20万人までなっていた。動画の大半はポルトガル語だが、日本語でしゃべる部分や日本語字幕が付くものもある。エリさんが撮りためた日本の風景を写真集にして出版した他、在京ブラジル大使館で写真展も開催した。

47万人のフォロワーがいるグチさんのインタグラム(https://www.instagram.com/ola_guti/)

 今年1月に二人はついにブラジルに渡り、そこから当地での人気が爆発した。グチさんは日本人として感じたブラジルの文化や生活、習慣などをユーモラスにポルトガル語で表現し、ほのぼのとした気さくな人柄がブラジル人視聴者に気に入られているようだ。
 グチさんは「僕らは基本的に旅行のつもりでブラジルに来ています。ブラジル全州を旅してまわりたい。有名な観光地だけでなく、田舎町やファゼンダでカウボーイ体験などもしたい。そのためにSNSでお誘いをもらって実際にそこを訪ねて、その体験を動画にしています」と説明する。
 すでにサンパウロ市リベルダーデ広場の東洋市、県連日本祭りやモジ秋祭り、ジャングル祭りなどの日系イベントの動画も投稿した。アマゾナス州、、サンタカタリーナ州、サンパウロ州、パラナ州、ゴイアス州、ミナス州も訪れ「13日からリオ・グランデ・ド・スル州へ1カ月ほど行きます」とのこと。
 エリさんは現在ブラジルの写真を撮りためており、来年あたり在京ブラジル大使館で写真展を考えている。まさにSNSという武器を最大限に活かして「自分たちがやりたいことをやっている」(エリさん)状態だ。動画の企画・編集・営業は全て二人でやっている。現在のユーチューブのフォロワー数は32万人、インスタグラムは48万人、フェイスブックは17万人、TikTokは26万人で、計123万人になっている。
 視聴者の8割が当地のブラジル人で、2割が在日ブラジル人と日本人ポ語学習者、ラテンアメリカに興味がある人など、企業の商品やサービスPRなどにも役立ちそうなフォロワー層と言えそうだ。

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