「貧乏人と関係したら人生終了」=ブラジルでパパ活が急増中

パパ活女子のジュリア・ディアスさん(11月30日付G1サイトの記事の一部)
パパ活女子のジュリア・ディアスさん(11月30日付G1サイトの記事の一部)

 「シュガーベイビー」とは、20世紀初頭に米国で生まれた表現で、裕福で年上の男性「シュガーダディ」とのデートや交際の見返りとして経済的なサポートを受ける若い女性、いわゆる「パパ活女子」を指す。ブラジル国内でもパパ活は増加の一途をたどっており、特にパンデミック後に顕著となり、出会いを提供する専用プラットフォームのユーザー数は2019年の同期間と比較して276%も増加しているという。ブラジルのパパ活事情を11月30日付G1サイト(1)が報じている。
 パパ活女子の一人、バイア州出身のジュリア・ディアスさん(30)は、G1のインタビューに対し、「幼少期の困難な経済状態から劣等感を感じ、愛を異なる視点で見るようになった」と話す。
 「母の友人らが何につけても『お金がない』と愚痴っていて、この女性達の問題はお金の不足なんだと、子供ながらに感じたわ。自分の人生を変える方法は二つしかない。勉強して働くか、または、金持ちの男性と関係を持つことだって分かったの」と話す。「貧乏な男とは付き合えない。お金がない男と関係を持ったら、私は人生を終えるわ」と公言した。
 ジュリアさんの「パパ」との初めての出会いは、19歳の時。ショッピングを歩いていると、フードコートに座る一人の男性と目が合った。オーストラリア国籍、53歳のその男性から「シュガーベイビーが欲しい」と話を持ちかけられた。当時は、その言葉の意味すら知らなかったという。
 「年上男性に興味があったから、それが転機になったわ。彼と一緒に、夢だったお店に入ることができたの」と彼女は付け加える。
 豪華な旅行、月4万レアル(約120万円)のお小遣い、好きなブランドバッグ。「ピザを食べたい」といったら500レアル(約1万5千円)を送金してくれる。欲しいものはなんでも手に入る新しい生活の開始だ。
 「ロマンチックな旅なのに、飛行機のエコノミークラスで行列に並び、三密の機内でひどい食事をとるなんて、ありえない。現地に着いても、ホステルで大勢と相部屋になり、買いたいものも買えず、ウィンドウショッピングで時間を過ごす。誰がそんな生活を望むの?」
 その関係は女性としての自立を奪うもではないかとの問いに、彼女は「お金がなくても自由があるなんて幻想よ。お金があれば、好きなものを食べたり、好きな場所に行ったり、好きなことをしたり、何もしないことだってできる」と答えた。援助を受けて約10カ国を旅し、大学を卒業して自分でビジネスを始めるまでに至った。
 ジュリアさんは「パパ」との関係が、単なる経済的な取引だけでなく、メンター関係でもあると強調する。「勝ち組男性の人生経験や考え方は、私の人生に新しい可能性をもたらしてくれるって気づいたの」。現在、ジュリアさんはオンラインで知り合った韓国人の「パパ」と婚約中だ。
 多くの場合、「この種の関係には性的搾取があるのか」という疑問と結びつく。弁護士でパパ活女子でもあるイザベラ・デ・カストロさんは、「2人の間で合意されたことは、2人の間のこと。ブラジルでは売春自体は犯罪ではなく合法。だから体だけでなく、サービスのやり取りは個人の自由」と説明する。
 専用プラットフォーム「メウ・パトロシニオ」のデータによると、23年下半期に総利用者数は980万人を突破。ユーザーの大半はサンパウロ州に集中しており、リオ州、ミナス・ジェライス州と続く。
 基本的に利用は男女ともに無料。だが有料プランなら、自分のプロフィールをより多くの女性会員に拡散させたり、相手の犯罪歴をチェックしたりできる「パパ」向けのサービスもある。

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