寿司のパネトーネ?!=一風変わったXマス風物詩に

「スシトーネ」(Foto: instagram @ delivery_sushi_saboro)
「スシトーネ」(Foto: instagram @ delivery_sushi_saboro)

 ブラジルでクリスマスシーズンに欠かせないパンケーキ「パネトーネ」。イタリア移民によって20世紀初頭に持ち込まれた伝統菓子は、ブラジルの食文化に根付き、多くの人々に愛される存在となっている。このイタリア文化に日本文化である寿司を融合した一風変わった創作パネトーネ、その名も「スシトーネ」が、SNS上で話題となっている。5日付エストラ(1)で紹介されている。
 リオ市で活動する起業家、マリア・ソアレスさん(42)が考案した「スシトーネ」は、その斬新な発想がSNSで注目され、販売の急拡大につながっている。パネトーネは通常、膨らんだドーム状の形状を持つ甘いパンで、小麦粉、卵、砂糖、ドライフルーツ、ナッツなどで作られる。
 だが「スシトーネ」は酢飯の中にサーモンやツナなどの寿司の具が詰め込まれ、外側に衣をつけて揚げ、上にクリームチーズをかけている。ブラジル人が大好きな寿司のホットロールを太くしたもの。たった1週間足らずで1日平均300個以上の売り上げを達成した。
 SNS上での初回投稿以来、この新商品は瞬く間に拡散され、そのユニークなコンセプトにより多くの顧客を引き寄せた。ソアレスさんは「購入してくれる人は皆、誰かに驚きと喜びを提供したいと思っている」と話す。「スシトーネ」を全国に広めるために、オンラインレッスンを提供する計画も進行中だという。
 この斬新なアイデアは、ソアレスさんが2019年末から和食を学んでいた中で生まれた。スーパーで買い物中、伝統的なパネトーネが彼女の足元に落ちた際、このアイデアが閃いた。クリスマス商戦を強化するため、「何か変化が必要だ」という暗示だと彼女は感じた。
 すぐに新商品のレシピを練り、試作で成功を収めた後、SNSに投稿した。その後の反響を受けて商品が成功すると確信したという。その投稿は既に200万回以上の閲覧を記録している。
 ソアレスさんはこれまでにも様々な斬新な創造を手がけ、イースターシーズンには、スプーンで食べられる卵型の寿司を考案し、成功を収めた。また、寿司バーガーや寿司ホットドッグ、寿司タコス、寿司ケーキも販売したが、期待していたほどではなかったという。
 ソアレスさんは現在、注文に応じるためにほぼ24時間体制で働く。ビジネスの成功には夫や二人の娘、従業員の協力が大きいと言う。自分のビジネスを立ち上げる前、ソアレスさんは高級ハンバーガーショップのレジ係だった。隣にある日本食レストランの存在が彼女の食の分野を変えるきっかけとなったという。
 2018年に初めて日本料理のコースを受講。その後、名古屋寿司学校の創設者であり、ブラジルの寿司アンバサダーであるアンドレ・カワイ氏のコースを受講した。彼女の探求心が斬新なアイデアを生み出す原動力となっている。
 「スシトーネ」はサーモンとツナ、エビとツナ、サーモンとクリームチーズの3種類。サイズは伝統的な中型のパネトーネと同じ程度で、高さ14センチ、重さは500グラム。価格は現在、いずれも55レアル(1650円程度)でお求めやすい価格設定だ。

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