リオ市が誇る世界的な観光地コパカバーナ海岸地区での暴力犯罪が増加の一途をたどっており、これに対抗するために自警団グループが復活した。同組織は警察による治安維持に限界を感じ、地域で猛威を振るう犯罪者を「狩る」ために市民自らが非合法な粛清活動を行なっていると6日付G1サイト(1)が報じている。
G1は、その自警団グループ「ウニオン・ドス・クリアス」のWhatsAppでの会話を入手した。ナックルダスター(拳にはめて打撃力を強化するための武器)、棍棒、武装護衛に関することまで細かな計画が述べられている。
チャット内には「ロープとテープも持って行くことを考えている。奴らを裸にして、電信柱に縛り付けて、ミイラみたいにテープでぐるぐる巻きにしてやる」とメンバーの一人が述べると、「それは時間の無駄だ。さっさとぶん殴って退散だ」と別のメンバーが提案する場面も見られた。
メンバーの一人はナックルダスターの写真と共に、「私はこの武器を使って、顔の骨を折る。奴らにやられたおじさんの仇をとる」と決起を促す投稿をした。
この「おじさん」とは実業家マルセロ・ルビン・ベンチモル氏のことで、彼は2日がノッサ・セニョーラ・デ・コパカバーナ大通りで、窃盗目的でギャングに襲撃されている女性を助けようとして、15人以上から意識を失うまで袋叩きにされた。この報道は大きな反響を呼んだ。(2)
同グループのメンバーは窃盗犯に「教訓を与える」最善の方法について議論しており、黒い服を着用してタトゥーを隠し、マスクを着けて特定されないように注意を促している。
柔術教師のフェルナンド・ピンドゥカ氏も、10万9千人のフォロワーを持つ自身のSNSに投稿した。彼は「浮浪者、強盗犯、トラブルメーカーらによる攻撃と卑怯な行為」に憤慨。
「地域の平和を守るため、これらの凶悪犯を無力化するために特別チームを組織するつもりだ」と述べ、「地元のスポーツジムや格闘家がこのアイデアに参加し、コパカバーナの浄化プロジェクトに参加すれば素晴らしいことだ」と〝戦友ら〟に呼びかけた。これに対し、フォロワー達から賛同のコメントが多数寄せられた。
警察は声明の中で「自警団復活」の状況を認識しているとし、関係者の特定と事実解明に努めていると述べた。
リオ州公安研究所のデータによれば、2022年と23年の1〜10月の期間を比較すると、コパカバーナでは強盗と窃盗が著しく増加した。特に通行人への窃盗が56・3%増加し、携帯電話の強奪が47%増加している。全体として、同地域では窃盗事件の総数は22年には3978件、23年は4914件が報告され、23%の増加。強盗事件の総数も760件から951件に増加し、25%増となった。
このような「自分の手で正義を行う」行為、法的手続きを経ずに他者に対して報復や制裁を加えることことは、ブラジル刑法の第345条で明確に禁じられている。だが、最近でも2015年にもリオでその活動は見られた。また、同地に限らず治安悪化地区ではその種の活動が起きているのが現状だ。