ドバイで開催中の国連の気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)で、世界の環境NGOが参加する「気候行動ネットワーク(CAN)が、4日の「化石賞」にブラジルを選んだ渡欧実付アジェンシア・ブラジル(1)が報じた。
化石賞は地球温暖化対策に後ろ向きで気候変動対策の足を引っ張ったと考えられる国に贈られる不名誉な賞で、1999年にドイツのボンでのCOP5以来、セレモニーとして恒例化。今も継続的に授賞式が行われている。
ブラジルへの化石賞授賞は石油輸出国機構(OPEC)の拡大組織「OPEC+」への加入を決めたことへの批判だ。CANは授賞に際して、「ブラジルは石油生産と気候変動のリーダーシップを混同しているようで、今日の化石賞受賞となった。ブラジルの石油への執着はブラジル代表団がドバイで交渉している取り組みを損ない、緊急性をもって行動する意欲を阻害している」と述べている。
OPEC+への参加はCOP28直前に呼びかけられた。
環境省や財務省の関係者は同件の取り扱いをCOP終了後または来年になってからにするよう望み、ルーラ大統領もCOP28開会式で「化石燃料への依存度を減らすべき」と力説した。
それにも関わらず、ブラジルはOPEC+参加を表明した。表の顔と裏の顔が同時に表出すれば、発言者や国への信用は損なわれ得る。
直近にもブラジルは、財務省が財政均衡法で来年の基礎的財政収支の赤字ゼロ化を打ち出していたのに、大統領が来年は多少の赤字になっても良いのではと発言し、国際的な懸念を招いた。同じ過ちを繰り返したといえる。
表の顔と裏の顔という意味では、化学石油企業「ブラスケン」も今回の会議でケチが付いた。
3日付エスタード・デ・ミナス紙サイト(2)によると、同社は8日と11日の持続可能性関連のパネルディスカッションに参加し、「カーボンニュートラルな循環経済における産業の役割」と「気候変動の影響と業界の適応の必要性」というテーマで語ることになっている。
だが、同社は今、アラゴアス州マセイオー市で数十年間行ってきた岩塩採掘による地下の採掘場崩落の危機という、環境災害で訴えられている。持続可能性を売り物にしている会社による環境犯罪が同社の信用を損なうことは不可避だ。5日付G1サイト(3)によれば、同社は5日、サンパウロ証券市場の持続可能性を謳う企業の仲間からも外された。
ルーラ大統領はCOP28開会式の演説で、「地球を救うために賭けている人はどれほどいるか」との言葉で、自分は全力を挙げて気候変動対策に取り組んでいると語ったのに、2日付G1サイト(4)よれば、「OPEC+でのブラジルの役割は産油国に化石燃料の廃止を警告すること」という表現でOPEC+加入を正当化しようとした。
だが、内側から変えることは思うほど容易ではないし、二つの顔を持つと判断されたことはベレン市で開催するCOP30への取り組みにも影を落としかねない。政治家にも表裏なく想いを貫く人がいるはずと願うのはコラム子だけとは思いたくないが。(み)
(4)https://g1.globo.com/economia/noticia/2023/12/02/lula-e-o-brasil-na-opep.ghtml