米カルト教団集団自決の舞台=あのエキセボに再び国際的注目

エキセボ地域にあるジョーンズタウンの場所(NordNordWest, via Wikimedia Commons)
エキセボ地域にあるジョーンズタウンの場所(NordNordWest, via Wikimedia Commons)
教祖ジム・ジョーンズ(Nancy Wong, via Wikimedia Commons)
教祖ジム・ジョーンズ(Nancy Wong, via Wikimedia Commons)

 ガイアナとベネズエラの国境に位置し、その領土権をめぐって二国間関係に危機的状況をもたらしているエセキボ地域。実はここは1978年、米国のキリスト教系カルト教団による900人以上を巻き込んだ、世界史上稀に見る集団自殺事件が発生した悲劇の舞台だった。4日付レビスタ・フォラム(1)が報じている。
 1955年に米国で創設された新興宗教「人民寺院(正式名:キリストの弟子たちの人民寺院)」の教祖ジム・ジョーンズへの不健全な偶像崇拝に駆り立てられ、1978年11月18日にそこで900人以上の米国民が青酸カリを摂取して自らの命を絶った。うち300人以上は未成年だった。この「ジョーンズタウンの大虐殺」は01年9月11日の同時多発テロが起こるまで、1日に死亡した米国民の数が史上最多の事件であった。
 彼の「牧師」としての道のりは20年以上にわたった。サイコパスとして知られ、強力で魅力的な説得力を備え、全米から信者を引き寄せ、全てを投げ打ってでも彼に従う者が絶えなかった。
 人民寺院は地域社会での人道的活動に積極的であったが、ジョーンズの信者に対する扱いは人道的でないことが多かったという。信者は定期的に辱められ、殴られ、恐喝され、多くは強要されたり洗脳されたりして、持ち家含む全財産を教会に譲渡させられた。黒人や他の少数民族の信者には、もし人民寺院から逃げ出したら、政府が運営する強制収容所に入れられると刷り込み、家族とは疎遠にし、何かあれば互いに密告するよう強要した。
 最終的にアマゾン奥地のエセキボ地域に「ジョーンズタウン」と呼ばれる農村コミュニティを開拓建設するに至った。この共同体は彼にとっては権力の頂点であり、米国当局の「迫害」からを逃れるために選ばれた僻地だった。当時からこの宗教団体は危険で犯罪的な行動を行っており、信者を過激化させていると警戒されていた。
 人民寺院の幹部らは共同体設立に際して、米国当局の手の届かない場所を求めて様々な地を調査した。ガイアナは英語圏だが、アクセスしにくく、先住民の多い国(ジョーンズの信者の大部分は黒人で人種差別を受ける可能性があった)であり、左派が政権を握っていたため、格好の場所だったと言われている。

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