サンパウロ市南部パライゾ地区が新日本人街化しつつあると8日付フォーリャ紙(1)が報じている。サンパウロ市で東洋人街といえば、市内中心部に位置するリベルダーデ地区が長い歴史を持つ。だが1980年代以降、日系企業が数多く進出し、日本国総領事館もあるパウリスタ大通りに面した同地区には、多くの日本人駐在員やその家族が集住し、日本人コミュニティを形成している。同地区には、この人々を対象とした本格的日本食レストランやカフェが急増している。
パライゾ地区を歩いていると、日本語で書かれた看板や暖簾が至る所で目に入る。この地域では、新しい日本食レストランを始め、和風洋菓子店、居酒屋が爆発的に増えている。
その一つが、日韓融合居酒屋「Kuromoon」(Rua Teixeira da Silva, 596)だ。和食をフェルナンド・クロダ氏、韓国料理はファビオ・ムン氏が担当するこのお店は、5カ月前にオープンして以来予約でいっぱいだ(当日席もあり)。GQ誌の「ブラジル新進美食のシェフ10人」の1人に選ばれたオスカル・ボッシ氏、日本領事館おかかえシェフの白石テルマ氏なども注目する場所となっている。
店内は日本と韓国の装飾が施され、本格的な居酒屋メニューが楽しめる。人気メニューの一つは「豚キムチ」で、価格は18レアル(約530円)とお手頃。ドリンクメニューには、韓国の伝統的な蒸留酒であるソジュや日本酒など豊富に揃えている。
日本酒はブラジルでも人気だ。今年2月にオープンした「Amay」(R. Cubatão, 305)は、日本酒販売店「メガ・サケ」に併設された一風変わった洋菓子店。サーバーで提供される日本酒が注目を集め、和風の洋菓子と一緒に楽しめる。
ル・コルドン・ブルー・デ・サンパウロ卒業生アヤ・タマキ氏が経営し、バニラシュークリーム(15レアル)や抹茶ケーキ(26・90レアル)など1日に300個の売り上げがある。近年健康的なデザートを求めるブラジルが増え、砂糖不使用やグルテンフリーの商品の売れ行きがよいとのこと。
アンドレイア・ヤマネ氏とカリン・ヤエガシ氏が5月に実店舗をオープンしたペーカリー「Hakkopan」(R. Mário Amaral, 167)は、飲食スペースも併設。パンやスイーツ、軽食やドリンクメニューも提供。特に人気なのは日本風のふわふわ食パン(22レアル/550g)とメロンパン(12レアル/70g)だ。
21年にパトリアシア・アケミ氏によってオープンした「Mori Chazeira」(R. Cel. Oscar Porto, 267)では緑茶をはじめ、様々な種類のお茶を楽しめる。ポットで提供され、価格は15・90レアルから。店内ではカレーやカツ丼、モッフル(餅のワッフル)などのメニューも提供。
19年7月オープン以来、瞬く間に大人気店となった「Sozai Deli」(Tv. Umberto Bignardi, 7)は、和惣菜を量り売りで販売し、店内でも飲食が可能なデリカテッセンだ。おかずが豊富なお弁当は56レアルから。手軽に和食を食べたい日本人駐在員の強い味方になっている。