ブラジル味の素=冷凍ギョーザの販売を開始=日本売上300億円の大人気商品

Zurich Bar & Restauranteのギョーザメニューと中村茂雄社長

 ブラジル味の素社(中村茂雄社長)は11月下旬、日本の冷凍食品市場で最多売上を誇る冷凍ギョーザ製品のブラジルでの販売を開始した。同社の冷凍ギョーザ製品が販売されるのは南米地域ではブラジルが初。販売から一週間でレストランなど73店が取り扱いを始め、小売りではサンパウロ市ジャルジン地区の日本食品店メイド・イン・ジャパンなどが販売を始めた。
 今回販売するのは、タイの味の素工場で生産し、輸入された「豚肉」「豚と鶏の合いびき肉」「野菜」の3種類。一パック30個入り。素材と製法にこだわって作られ、皮はパリッと具はジューシー、最もフレッシュでおいしい瞬間を閉じ込めた王道の味のギョーザとなっている。
 味の素ギョーザは日本の数ある冷凍食品の中でもトップの販売額を誇り、単品での売上高は年間約300億円に上る。

ブラジル味の素社が販売を開始した冷凍ギョーザ3種

 米国、タイ、フランス、ポーランドの工場でも生産・販売されており、世界各国で幅広く愛される製品となっている。
 フランスでは、販売素地の無い中、約20年前に販売事業を開始。今ではギョーザのトップブランドとして群を抜いた存在となっている。
 欧州では、ポーランドでEU向けの製品製造を行っていたが、アジアンフードの人気の高まりによって、英国やドイツでの需要が増加。フランスにも工場を設置した。
 昨年の東京オリンピックの選手村食堂では、各国のアスリートから「一番おいしい」と称賛されたのが同社のギョーザだった。
 国を問わず人気を博すギョーザは、ブラジルサンパウロの日本食レストランでは定番のメニューになっている。しかし、全国的な広がりという点ではヤキソバに及ばず、同社では「自分たちのギョーザを広めることで、ブラジルの食をさらに豊かにしたい」とギョーザ販売を事業化した。
 同社の井村陽一郎テクニカルディレクターは「おいしさと同時にギョーザが完全なバランス食品であることも伝えたい」と話す。

ブラジルのバールでおつまみメニューとなっているギョーザ

 販売開始から間もなく、日本食店やアジアンレストランが取り扱いを始め、ブラジル料理店やバーなども新手のおつまみとしてメニュー化を始めた。
 最初に冷凍ギョーザ製品の注文をしたのはジャルジン地区の「Zurich Bar & Restaurante」だった。同店オーナーは「味の素ギョーザはおつまみのヒットメニュー」と太鼓判を押す。
 同社の調査によれば、伯国の冷凍食品市場は成長を続けているが、その消費量は米国やEU、日本と比べると圧倒的に少ない。しかし、その分、市場の潜在力は大きく、中村社長は「ニーズ次第で将来はブラジルでの生産販売も視野に入れている」と気合の入った面持ちで展望を語った。

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