ペレ、カズ、ネイマールなど数々の名選手が活躍したサッカークラブのサントスにとって、2023年は悲劇の年だった。栄光の歴史を持つ同クラブは、史上初めての全国選手権大会2部リーグ降格となった。財政危機にも直面しており、この極めて深刻な状況から救うべく、ネイマールがクラブを買収する可能性が浮上しており、これが実現すれば新展開が期待される。12日付CNNブラジルなど(1)(2)が報じている。
CNNのジャーナリスト、ベンジャミン・バック氏は自身の番組で「サントスはSAF(サッカー資産会社)になる。間違いない。そしてネイマールと父親がサントスを買いに来る。悪い話ではない。多くのサントスファンは歓迎するだろう。楽しみだ」と語った。
SAFとは、2021年8月6日に制定された法律で導入された新しいクラブ組織形態だ。(3)この法律はクラブがサッカー活動のためのガバナンス、管理、資金調達手段を備えた企業形態に変更することを促進している。
サントスは今年、全国選手権大会を勝ち点43の17位で終え、2部へ降格した。残念な結果をもたらしたアンドレス・ルエダ会長の後任として9日、マルセロ・テイシェイラ氏が新会長に選挙で選出された。(4)14年ぶりにその役職に復帰となる同氏は元々実業家で、クラブ再建の経験と資金を有しており、SAFへの移行を公約に掲げていた。
テイシェイラ氏とネイマールは頻繁に連絡を取り合っている。同氏はネイマールから「(テイシェイラ氏が1部リーグ復帰まで)背番号10番を使わないと発表したのを見たよ。僕が戻るまで11番もとっておいて」と電話を受けたことを明らかにした。10番はペレ、11番はネイマールがサントス時代に使用した番号だ。
SAFが実現すると、クラブが資金調達を進め、税制上の特典を享受することが可能となり、またサポーターによるサッカー債の発行も可能となり、クラブの財政を支援する新しい手段として期待されている。
また、クラブ経営は従来の市民協会の形態から大きく変わり、プロの経営陣がクラブを指導することとなり、経営陣は所有者によって雇用および解雇される。よって、SAFは経営の安定性や迅速な意思決定をもたらすことが期待される。
2019年の全国選手権で同様に史上初の2部降格となった名門クルゼイロは、そこを古巣とするサッカー元ブラジル代表FWロナウドが買収し、そこから現在は立ち直ってきている。その際もクルゼイロはSAFに組織替えをし、ロナウドがその株の大半を買う形で大株主となった。