12日夜、同日付アジェンシア・ブラジル(1)で、「マセイオーでの問題解決のために政治家が対立を捨てることに同意」という見出しの記事を見つけ、期待を膨らませた。
記事の内容は、アラゴアス州の州都マセイオーで起きたブラスケン社の岩塩採掘場崩落事件に関し、その後の環境社会問題対応を含めた話し合いを行うため、ルーラ大統領が会合を行ったというものだった。
会合には、パウロ・ダンタス同州知事とジョアン・エンリケ・カルダス・マセイオー市市長、アルトゥール・リラ下院議長、レナン・カリェイロス上議、レナン・フィーリョ運輸相(上議当選後に閣僚に任命)、その他の同州選出議員が招かれた。
冒頭に紹介した記事の見出しは、ルイ・コスタ官房長官が会合後に語った内容を表したものだった。12日付G1サイトなど(2)(3)(4)によると、対立するレナン氏とリラ氏が同盟者と共に同じテーブルに着いたのは初めてだという。
だが、会合の場でレナン氏とリラ氏が直接口論することはなかったものの、会合自体は丁々発止の展開となり、ブラスケンの議会調査委員会(CPI)設置を避け、レナン、リラ両氏間の対立を鎮めるという大統領の計画は頓挫したという。
会合では、レナン氏に近い知事が、マセイオー市がブラスケン社と結んだ合意の無効化を望んでいることなどを語り始め、リラ氏に近い市長が反論して口論になった。レナン氏も市長の言葉を遮ったという。
知事やレナン氏は、合意の内容はブラスケン社に益する部分が多く、被災者や自治体への補償には不十分だとしている。
これに対し、市長とリラ氏は、17億レアルをマセイオー市に支払うが、それ以上は責任を問われないという合意を維持することを主張した。実際には、ブラスケン社が裁判で有罪となり、それ以上の賠償を求められる可能性が大きい。
参加者によると、大統領はこの席上、政治環境の混乱が解決策の模索を妨げているとして、政治的な対立を一時的に横に置き、被災者への対応に焦点を当てるよう求めたという。
また、大統領はこの会合でアラゴアス州の政治家同士の抗争が想像以上に根深いことに気付き、「この会合は平和裏に解決策を探るためのもの」と繰り返し述べ、会合出席者の要請であっても、知事と市長の関係が平静化するまでは同州訪問は行わないとの意向を示した。
一方で、ミナス州のマリアナ市とブルマジーニョ市で起きた鉱滓ダム崩壊事故の補償問題に携わった総弁護庁(AGU)の専門家らが14日に現地に向かい、州政府や市役所の代表者と会合を持つことが決まった。
また、日程は未定だが、日を改めて大統領と知事、市長、同州選出の議員達とブラスケン社の代表による会合を開くことも決まった。
夫婦喧嘩などなら同じ方向を見ることで互いの差を乗り越えるようアドバイスすることもある。今回も被災者救済という同じ方向を見ることで対立関係を乗り越えられるかと思ったのだが、G1サイトなどには、「正式な合意は成立せず、両陣営の間に不満も残った」とあり、ため息をついた。
対立する政治家らに、直接、間接合わせて20万人とも言われる被災者を想い、自身の意見や不満はさておいて、迅速かつ十分な補償と環境被害を緩和する方策の確立をと願うのは綺麗事に過ぎるのだろうか?(み)