ブラジル中部ゴイアス州の州都ゴイアニア市のある薬局で10日午後、強盗事件が発生し、81歳の高齢者が犯人をみごと撃退して話題になっている。事件の一部始終を捉えていた防犯カメラの映像には、犯行に気づいた被害者が素早く反応し、犯人を床に押し倒して殴りつける様子が写っていた。しかしその一見勇気ある行為に見える行動は、被害者の中では「下手したら死んでいたかも」と後で後悔を生んだと、14日付G1サイトなど(1)(2)が報じている。
映像には、薬局のレジカウンターの列にいる容疑者の様子が映っている。犯人は、現金を出して会計中だった高齢者男性ウィルソン・デ・マットス・ブラガさんの後ろをうろつき、後ろポケットに入れていた現金を抜き取った。
しかし盗んだ紙幣の一部が床に落ちたため、犯人がそれを拾おうと腰をかがめている間に、ウィルソンさんは即座に抵抗。犯人の首をつかんで仰向けに床に倒し、馬乗りになって数回殴った後、棚に強く叩きつけた。
映像からは犯人は30代程度に見える。犯人は一瞬の隙をつき、薬剤師の携帯電話も盗み逃亡を図った。だが従業員に取り囲まれ、駆けつけた警察官に現行犯逮捕された。幸いなことに、ウィルソンさんや従業員に怪我はなかった。
ウィルソンさんは銀行で2600レアル(約7万5千円)を引き出したばかりだったという。「ついつい抵抗してしまったことを後悔している。私は老齢の上、身長は160センチと小柄だ。2600レアルのために、下手したら死んでいたかも」と後悔した様子で話した。
薬局の従業員によると、ウィルソンさんは近所に住む常連客だ。事件の翌日、自分の行動が損害を与えなかったかを心配し、確認するために店を訪れ、もし損害があれば支払うつもりだと言ったという。
警察は、強盗や犯罪に巻き込まれた場合、抵抗することは避けるように注意喚起を促している。犯人が武器を隠し持っていた場合、躊躇なく被害者を殺すことがよくあり、慎重な対応が必要だと常々言われている。