マイクロソフト創設者で世界的に最も影響力のある一人、ビル・ゲイツ氏が12日に個人ブログ「GatesNotes」で、ブラジルの統一医療保健システム(SUS)を称賛し、他国がこの方法を学んで取り入れることで「より健康な世界が実現するだろう」と表明、PT政権の看板政策ボルサ・ファミリアについても高く評価した。13日付バンジ・サイト(1)(2)(3)などが報じた。
ゲイツ氏は「ブラジルからの救命に関する教訓」と題した論説を公開し、ブラジルでの公共医療の取り組みについて称賛した。同氏は「私はかなり前からブラジルの大ファンだ。初めて訪れたのは1995年。しかし、私が公衆衛生に携わるようになって、初めてこの分野におけるブラジルの実績がいかに素晴らしいものであるか、そして世界の他の国々が学ぶべきことに注目するようになった」と述べた。
SUSの重要性を強調するために、ゲイツ氏はデータを提示した。約30年の間に、ブラジルは妊産婦死亡率を約60%削減し、5歳未満児死亡率を75%削減した。「これらの成果はどれも偶然ではなく、長期的な投資の結果だ。他の国々はそこから学ぶことができる」と述べた。
米国制度では無料医療は限定的で、この分野での米国人の支出は非常に高くなっているとゲイツ氏は指摘。「医療制度に資金を提供してサービスを確保することと、それが最も必要としている人々に確実に届けることとはまったく別の問題だ。ブラジルの最も重要なステップは地域医療公務員(Agente Comunitário de Saúde、Pacs)の規模と範囲を大幅に拡大したことだ」とコメントした。
Pacsは「世界最大の無料かつ普遍的な公的医療システムへの入り口として機能する」とし、そしてこの取り組みが医療分野に変革をもたらすと付け加えた。「乳幼児死亡率をさらに低下させ、ワクチン接種率をほぼ一般的な水準に引き上げたことが評価された」と述べた。
ゲイツ氏はさらに、極貧家庭を対象に子どもの教育確保と引き換えに生活費を扶助する格差是正策ボルサ・ファミリアも評価に値すると述べた。「これはブラジルが開発した多くの社会プログラムの一つに過ぎないが、国の人口の約5分の1を貧困から救うのに役立った」と強調。
「投資と技術革新の適切な組み合わせにより、ブラジルは国民にとってより健康的な国へと大きく前進した。この進化を続け、他の国がそれに続くならより健康的な世界を手に入れることができる」と締めくくった。
ただし同論説のコメント欄をみると、「民間の医療保険に加入できる余裕のある人は誰でもそれに入っており、SUSを避けるだろう。現地紙には常に、数カ月や数年にも及ぶ検査待ちの長蛇の列、重大な医療ミス、劣悪な医療環境、設備の不足、勤務時間に来ない医師などの見出しが並ぶ。政治家は常に最高級の民間医療保険の恩恵を受けている。自慢する公的医療がきちんとしているのなら、なぜ政治家は民間医療を受けているのでしょうか?」などの書き込みも見られた。