【既報関連】ブラジル味の素社(中村茂雄社長)はアマゾン地域の伝統調味料トゥクピ(マンジオカの絞り汁を発酵させた液体調味料)などを製造販売するスタートアップのマニオカ社へ、味の素グループにとって日本国外で初となるフードテックの投資を本格スタートさせた。11日午後6時から両社共催で聖市内のカーザ・マニオカで記念イベントを行い、両社のスタッフとブラジル5州のディストリビューター、大手小売業者が約70人参加した。在サンパウロ総領事館の清水享総領事も来場し、今後の日伯ビジネスのパートナーシップにおける新たな一歩を祝した。
冒頭のあいさつで中村社長は、「弊社がマニオカ社のビジネス促進に貢献し、成長する健康食品市場のニーズに応えて製品ラインを拡大することは、アマゾン地域のイノベーションとさらなる持続可能な未来を創造することにつながる」と述べた。
鏡開きの後、ブラジル味の素社のマーケティングマネージャー、アンナ・ホッシャさんは、両社がブラジルの約60%を占めるアマゾン地域の生物多様性を尊重し、同地域の伝統的な食文化による健康的で持続可能な製品のためのイノベーションを促進するという共通のビジョンがあることで、パートナーシップが実現したと説明。
マニオカ社を設立したジョアナ・マルチンスさんとパウロ・レイスさんは、アマゾンの天然食材がブラジルの消費者の日常に取り入れられることを目指しており、そのビジネスプランも紹介された。
今後はブラジル味の素社独自の味覚設計技術と品質管理技術でおいしさと安心・安全に磨きをかけ、全国のディストリビューターネットワークで、マニオカ社の製品をこれまで到達できなかった地域の人々にも届けていく。
2014年にマニオカ社を設立したパラー州ベレン出身のジョアナさんの父親パウロ・マルチンスさん(1946~2010年)は、ブラジルの食材を世界中の料理法と組み合わせて、現代ブラジル料理を創作した代表的なブラジル人シェフの一人だった。長年ベレンでレストランを営業し、特にアマゾン地域特有の食材であるトゥクピ、ジャンブー、同地域の唐辛子や香辛料などを使用したパラー料理をブラジル全土へ広めることに尽力し、サンパウロでも高級ブラジル料理店のメニューの一部に取り入れられることにつながった。
懇親会では、マニオカ社製のトゥクピやフェイジョン(豆)、香辛料を使ったレストラン・マニの魚料理や豚肉料理、デザートが提供された。同店はパウロ・マルチンスさんのパラー料理からもインスピレーションを得た創作ブラジル料理店で、ミシュランガイドの星付き、ラテンアメリカのベスト50にも選ばれている。アマゾン由来の食材が日常の食卓から高級レストランの食事までおいしく食べられるというポテンシャルを証明する料理に、会場は笑顔で包まれた。