ミレイ過激政策で変わるか=割安でグルメなアルゼンチン旅行

ブエノスアイレスのドレゴ広場でタンゴを楽しむ人々(Helge Høifødt, via Wikimedia Commons)
ブエノスアイレスのドレゴ広場でタンゴを楽しむ人々(Helge Høifødt, via Wikimedia Commons)

 ハビエル・ミレイ・アルゼンチン大統領による痛み伴なう過激な経済政策に伴い、同国への観光旅行がどう影響を受ける。インフレを抑制するための施策により、同国への旅行は今後観光客にとって割高になる可能性があるとする一方、ブラジルにとってまだしばらくは比較的安い旅行先であり続けるとエコノミストは予測している。エスタードなど(1)(2)が報じている。
 インテリジェンシア・フィナンセイラサイト11月4日付(3)には「物価がサンパウロよりも50%安い」「50レアルから60レアルで良いレストランでお腹いっぱい食事ができる」「来る前は、路上でたくさんの貧困を見つけるだろうと思っていたが、実際は聖市よりもはるかに安全な都市だ」などの体験談が掲載されている。
 ブエノスアイレスで7日間過ごす場合、旅行日程に余裕がある場合は、3200レアルで経済的な旅行、4千レアル質の高い旅行、5千レアルで高品質な旅行が楽しめると紹介されている。この状況が、ミレイ大統領の経済政策で、どう変わるか?
 ミレイ氏は、短期的には財政調整の結果が現れるまで国内状況が一時的に悪化する可能性がある自ら認め、市場や専門家は同氏の経済政策が「スタグフレーション」を引き起こす可能性に懸念を抱く。スタグフレーションは高いインフレと経済停滞が同時に発生する状態を指し、これが再建に向けた苦しい試練となる可能性がある。
 この状況が観光客に及ぼす影響については複数の要因が絡み合っている。経済のドル化案が注目を浴びているが、もしドル化が実現すれば、観光客もアルゼンチンでの支払いにおいてドルを使用することになる。
 だがブラジル人観光客にとっては、既にアルゼンチン旅行時にはドルを参照している傾向があるため、基本的な旅行コストには大きな変化はない可能性が高い。
 経済指標の観点からも、2023年には米ドルがアルゼンチンペソに対して99%上昇し、逆にブラジル通貨のレアルに対しては6・38%下落したことが示されている。
 ただし、アルゼンチンペソが引き続き国の通貨として使用される限り、その価値がさらに低下する可能性があると専門家は見ている。バンク・オブ・アメリカの予測によれば、24年までにペソが最大で70%下落する可能性が指摘されている。ただ、これがブラジル人にとって旅行費用が安くなることを意味するわけではない。
 トラベレックス・バンクの財務部長であるマルコス・ウェイト氏は、ペソに対するレアル高の可能性は、最終的にはアルゼンチンのインフレによって侵食されるだろうと述べている。
 同氏は「ブラジル人観光客は、非公式の為替市場であるブルーレートの普及により、大きな違いを感じないはずだ。インフレはペソ建ての製品やサービスの価格を上昇させ、経済状況を再び均等にする。一方で、輸入業者や輸出業者は公式為替レートを使用しているため、より大きな変化に気づくかもしれない」と説明した。
 専門家らによると、少なくとも短期的には、ブラジル人のアルゼンチン旅行費用に大きな変化はなさそうだと指摘する。節約を考える旅行者にとって理想的なのは、アルゼンチンの目的地によって異なるハイシーズンを避けることだとアドバイスをする。例えば、首都ブエノスアイレスでは12〜2月までの夏に価格が上昇する一方で、バリロチェでは積雪期の5〜8月までの冬に価格が上がる。

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