世界で話題の日本映画の新作『ゴジラマイナス1・0』(山崎貴監督)のブラジルでの上映が14日に始まった。
同作について映画情報サイト・オメレッチは18日付で、《シンプルでスリリングな『ゴジラ・マイナス・ワン』は、モンスターバースを粉々に吹き飛ばす》(https://www.omelete.com.br/filmes/criticas/godzilla-minus-one-critica)との批評家アンドレ・ジュリアニ氏の記事を掲載。「モンスターバース」とは、日本の怪獣映画を米国で作り直したシリーズのことで、第1作目がゴジラだった。それを「粉々に粉砕するほど出来がいい」との高評価だ。
この映画は物語重視の作品。第2次大戦後の焼け野原となった日本が舞台。特攻隊だった敷島浩一(神木隆之介)は、戦争で生き残った意味を問いながら、米国が生んだ原爆を象徴した巨大怪獣ゴジラに立ち向かう。
ジュリアニ氏は、ゴジラ初登場から70周年目となる今回の作品が「シンプルさを最大の武器にしているのは驚きだ」「アメリカ映画に見られるような説明的で誇大妄想さは一切なく、ゴジラのアクションに基づいたストーリーで展開している」、「長年、決闘する巨大な怪獣を扱っただけの映画が数多く作られた後では、今回の様に基本に立ち返ることは、怪獣への関心だけでなく、それが象徴するものへの関心も新たにする良い方法である」と語っている。
サンパウロ市ではEspaço Itaú de Cinema – Frei Caneca、Cinemark、Cinema Cinemark、Cine Marquiseなどで上映中。
また、『万引き家族』でカンヌ国際映画祭最高賞パルム・ドールに輝いた是枝裕和監督が、「今一番リスペクトしている」と語る脚本家の坂元裕二と初共作した映画『怪物』(2023年)も、現在公開中だ。
同作について19日付フォーリャ紙で批評家のエンリッキ・アルツーニ氏は「カフカの不条理な世界を彷彿とさせる奇妙さの中に、是枝監督の伝統的な家族ドラマのヒントが隠されている」「是枝監督は直線性を排除し、その巧みな演出を、混沌としながらも彼のキャリアの中でも異彩を放つ脚本に託した。ここ10年で彼の最高傑作のひとつである」と論評している。
本作品を鑑賞したマテウス・リマさん(27歳)は「結末は感動的であると同時にとても残酷でした」と語り、ラストシーンに涙したという。
サンパウロ市ではPetra Belas Artes、Reserva Cultural、Espaço Itaú de Cinema – Frei Canecaなどで上映中。