スタジオジブリの新作アニメ『君たちはどう生きるか(ポルトガル語タイトルO Menino e a Garça、少年とサギ)』のブラジル公開日が24年3月に決定した。配給元は佐藤プロダクション。同作品は宮崎駿監督が引退宣言を撤回し、『風立ちぬ』以来10年ぶりに製作した長編映画だ。20日付けテラ・サイト(1)が紹介している。
同作は第2次世界大戦で母親を失った12歳の少年、眞人(まひと)が新しい町に移り住み、そこで生者と死者が共有する幻想的な世界を発見し、しゃべる青サギの助けを借りて冒険する姿を描いたファンタジー。
現在までに1億1300万米ドルの興行収入を記録し、国際的な大ヒットを記録し、来年3月に行われる第96回アカデミー賞の長編アニメ映画賞へのノミネートも有力視されている。
ブラジルでも根強い人気を誇っているジブリのベスト5作品をブラジル人アニメ批評家のライザ・トラジャイケ氏が独自の視点で選んで20年5月25日付カナル・テック誌で紹介した。(2)
▼5位【Meu Amigo Totoro(となりのトトロ)】に関して《『トトロ』は、森の精霊が登場するというアイデアを超えて、家族、友情、そして何よりも楽観主義についての映画であり、それはこの映画が舞台とする戦後日本というシナリオに必要な感情であった》と論評した。
▼4位【O Conto da Princesa Kaguya(かぐや姫の物語)】では《高畑勲監督が宮崎監督ほど、少なくとも欧米では知られていないのは残念だ》と前書きし、《1コマ1コマが芸術作品であり、線そのものが登場人物の心情を表している。特にかぐや姫が逃げ出し、作中で初めて黒という色が登場する場面は、作中で最も印象的なシーンのひとつ》《ストーリーに関しては忍耐は報われる》と展開の遅さを揶揄しつつ、《単なる昔話の映画を超えた内容でエンディングはまさにご褒美》とした。
▼3位【Princesa Mononoke(もののけ姫)】では《欧州的な王子のあり方から遠く離れ、アシタカは自分や政治的・経済的利益のために民を支配するのではなく、公益のために戦う》《不思議な生き物を登場させることは、ディズニー・ピクサーの映画にありがちなタダの変わったキャラクターではなく、ジブリでは意味を持った役割の究極の表現だ。何一つ無駄なキャラクターはない。他の監督の手にかかれば利害の対立を描いたただの映画になりかねない脚本の中で、この登場人物たちは他にない独特の活劇を形成する》と評価した。
▼2位【Túmulo dos Vagalumes(火垂るの墓)】では《史上最も悲しい映画の一つで、映像の美しさはその悲しみを和らげるどころか、むしろ強めている。戦争と飢饉のほとんど実話的な物語で、これほど衝撃的な結末を和らげることは不可能だ》とした。
▼1位【A Viagem de Chihiro(千と千尋の神隠し)】に関しては《優れた映画のほとんどは多層的に構造を持つが、ジブリ作品の中で最もそれに当てはまるのが今作。筋書きが難解なのではなく、いくつもの物語レベルで同時に考えることを可能にし、無限の解釈の豊かさを示している》と芸術性の高さを評価した。