大物アーティストが大好きな舞台=ツアー最終地にブラジルを選ぶ理由とは

11月24日、サンパウロ市アリアンツ・パルケでツアー初日を飾ったテイラー・スウィフト(15日付けヴェージャの記事の一部)
11月24日、サンパウロ市アリアンツ・パルケでツアー初日を飾ったテイラー・スウィフト(15日付けヴェージャの記事の一部)

 テイラー・スウィフト、ポール・マッカートニー、ザ・キラーズなど国際的な大物アーティストが2023年世界ツアーの最後の日程としてブラジルを選んだのはなぜか。これはブラジルへの愛情やファンへの感謝に加えて、北半球の季節的な要因が大きな影響を与えているという。15日付けヴェージャ(1)が報じている。
 北半球に位置する欧州、日本、アメリカでは年末の季節は冬だ。雪が降って寒くなるため野外イベントには不向きな環境になる。一方で、季節が逆のブラジルでは温暖な気候となり、ライブパフォーマンスに最適な条件が整っている。
 ブラジルが選ばれた理由には、経済的な好況期、適切なインフラ、大規模イベントにおけるブラジル人の専門家の確かな経験などが挙げられる。加えて、ライブを盛り上げる熱心な観客も大きな要因だ。
 特にテイラー・スウィフトはその象徴的なケース。組織上の問題や、リオでのファンの死亡といった悲劇があったにもかかわらず、彼女は自身のインスタグラムでブラジルでの経験が感動的であり、再びここに戻ってきたいと述べた。彼女の全6公演は満員御礼となった。
 ザ・キラーズも重要なバンドで、プリマヴェーラ・サウンド・フェスティバルの主役であるヘッドライナーとして招かれ、イベントで今年の最後のショーを披露。バンドは昨年に続き、今年もブラジルを訪れ、フェスティバルでのパフォーマンスだけでなく、数日前にはサンパウロ市にあるイベントホールで4千人の観客を対象に追加公演を行い、ファンを沸かせた。
 しかし、ポール・マッカートニーがブラジルで見せた情熱に勝るものはない。国内の複数の州都でコンサートを行っただけでなく、各都市のスラングを舞台で披露した上、ブラジリアのライブハウスでサプライズ・パフォーマンスを行った。
 同氏は1日、グローボ局の「コンヴェルサ・コン・ビエル」に出演し、ビートルズ時代になぜブラジルでコンサートを行わなかったかについて語った。(2)
 当時についてポールは「エージェントの言うことを聞いていただけなんだ。彼は私たちに『日本に行くんだ』と言うと、単純にそれに従った。彼がブラジル行きについて何も言わなかったから、機会がなかっただけ。でも今は自分の意思で選べる。プロデューサーに『ブラジルに行きたいんだけど、いい?』ってね」
 今年はブラジリア、サンパウロ市、リオ市、ベロ・オリゾンテ市、クリチバ市で計8公演を含む、自身10度目となる最大規模のツアーでブラジルを訪れた。
 ポールは2013年4月のテレビ局インタビューの中で、次の逸話を披露していた。「ブラジルの人々は音楽が特別に大好き。とても音楽的な国で、私達はそれが大好き。観客がとても若く、いつも驚かされます。例えばジョン・レノンの「Give Peace a Chance」を演奏していた時でした。突然、観客席に白い風船が現れました。私たちは『これは何?』と思いました。それがいつの間にかスタジアム全体に広がり、まるでヒナギクの花畑のように見えた。それは非常にエキサイティングでした。後で私たちは、テレビ局やコンサートのプロモーターの仕掛けだったのですかと尋ねました。そしたら『いいえ。それは、ある少年がフェイスブック上で一般の人に呼びかけたもの』と聞き、素晴らしいと感激しました」とコメントした。(3)

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