【2024年新年特集号】日本館建設70周年の節目の年に=ブラジル日本文化福祉協会 会長 石川 レナト

石川レナト会長

 ブラジル日報読者の皆様、新年あけましておめでとうございます。旧年中はブラジル日本文化福祉協会に対し、温かいご理解とご協力を賜り、心より感謝申し上げます。
 まずは、「若者の主体性の促進」を2大テーマの一つに据えて活動する当会において、昨年の移民115周年祝賀月間の中心イベントと位置づけ、移民祭事業の中で最も重要な追悼大法要および白寿者表彰式をプログラムに組み込み、青年らに主導権と決定権を託して実施した「文協文化祭り」が、週末2日間の開催で約2万人の来場者を迎えて成功裏に終了し、将来に向けて大変明るい希望を与える祭典となりましたことを、感謝とともにご報告申し上げます。
 また、もう一つのテーマである「関係の強化」についても、ブラジル全土の日系約400団体を代表する文協地方理事らと2カ月に1度会議を実施、一体感が促進される等大変良い効果を齎しております。
 それ以外では、当会の社会福祉事業において、2021年より開所し現在約100名が利用する高齢者向け「デイサービスセンター」の運営が認められ、昨年7月には、聖市役所の社会福祉開発局によって維持管理される80の施設のうちの一つに登録されるなど、その活動は日系社会の枠を超えたものとなりました。
 移民史料館においては、東京で開催された2019年度の海外日系人大会に於いて提案された、「世界に点在する各国の日本人移民資料館と連携を図る世界日本人移民資料館ネットワークの構築」に対し、いち早く当館が反応、日本、米国、カナダ及び中南米の資料館関係者をオンライン上に招いてシンポジウムを開催して以来、ブラジル国内はもとより、国際社会からも注目を浴びるようになりました。
 なおかつ、大陸的規模のブラジル国内においても同様の連携を取るべきと、昨年より各地方の日系団体に呼びかけ、まだ独自の史料館を持たない団体にも、大小の関わりなく、史料室設置を提唱し、その奨励活動を展開致しました。また、昨年改修工事が完了した同館に、ブラジルの各州から日系人に限らず非日系人も多数来館、月平均で5千人、子供たちの休暇期間となる7月に至っては、1万1千人という記録的来館者を数えるなどし、喜びと共に改めて当館が背負った使命と責任の重さを実感した次第でございます。
 何よりも、昨年末、2021年に引き続いて、短期間で2回に渡る訪日の折には、日本および在日ブラジル政府当局、在日ブラジル関係諸団体との会合はもちろん在日ブラジル人コミュニティーを訪問し、現在彼らが直面している課題についても把握することができたことは、大きな収穫でありました。
 またそれだけでなく、秋篠宮皇嗣殿下同妃殿下ご臨席のもと、17カ国181名が対面で、333名がオンライン参加にて開催された「第63回海外日系人大会」において、文協会長として世界の日系人を代表する立場から、「日系社会:関係性の強化と若者の主役意識を高める」をテーマに30分間行った特別講演の内容が、最終日の大会宣言に盛り込まるなど、大きな成果を得ることができました。
 これら全ては、常日頃からの皆様のお力添えの賜物と、この場をお借り致しまして改めてお礼申し上げます。
 さて、本年は、第2次世界大戦終戦直後の勝ち負け抗争により分裂した日系社会を一つにまとめ、日系社会が一致団結して新時代の幕開けの第一歩を象徴すると同時に文協創立の要因となった日本館建設から70周年という節目の年となっております。これを機にもう一度初心に立ち返り、先駆者の齎(もたら)した良き遺産を継承することはもちろん、時代の変化にも柔軟に対応するべく、若者の力を得て積極的に新しいことに挑戦する団体でありたいと考えます。つきましては、引き続き、ご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
 最後になりましたが、ブラジル日報読者のみなさまのご健勝と益々のご発展を心よりお祈りし、新年のご挨拶とさせていただきます。

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