ルーラ政権=暫定令の70%以上が失効=議会内の対立と混乱が影響

ルーラ大統領(Foto: Ricardo Stuckert/ PR)
ルーラ大統領(Foto: Ricardo Stuckert/ PR)

 2023年にルーラ大統領(労働者党・PT)が提出した暫定令(MP)の内、70%以上が失効したことが分かった。これは、連邦議会が承認したMPよりも失効したものの方が多いという異例の事態だ。この一因にはMPの審議手続きにおける議会内の対立と、それに伴う混乱が挙げられると2023年12月31日付テラ・サイト(1)が報じた。
 エスタード紙の調査によると、12月20日までにルーラ大統領が出したMPは20が失効。連邦議会が承認したのはわずか七つだった。
 20年にはボルソナロ前大統領(自由党・PL)が署名した54のMPが審議前に期限切れとなったが、一方で他の53が承認された。03〜18年と21〜22年は、議会の基盤が脆弱だった時期もあったにも関わらず、より多くのMPが承認されていた。
 MPは即座に発効する法令として発令され、緊急かつ重要な状況に対応するためのものだが、過度な使用は批判を浴びる。年末には、17部門に対する給与支払い時に払う社会保障費の軽減(デゾネラソン)法を段階的に覆す、税収減補償のためのMPが発表され、生産部門や政界からの批判と抗議を招いた。議会はデゾネラソンを27年まで延長することを決め、法令として公布も行っていた。
 同MPはフェルナンド・ハダジ財相が年末に発表した措置をまとめたもので、今年初頭に行政と立法府の間で衝突が起こると予想される。ロドリゴ・パシェッコ上院議長(社会民主党・PSD)は同MPに「奇妙さ」を感じており、その法的内容は分析されるだろうと述べた。
 23年はMPの審議手続きに関する議会内の争いもあり、審議されたMP数が少なかった。憲法によれば、MPは両院合同委員会で審議され、その後に下院、次に上院に送られる。法案の報告官は両院間のバランスを取るため、上議と下議が交代で務める。
 アルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)と同氏に近いリーダーらは合同委員会のメンバー指名を拒否したり、一部のMPの採決を行わないと政府に通告し、法案として再提出するよう指示したりした。これにより、議会審議は停滞し、政府は各議題について両院のリーダーとの具体的な交渉を行う必要が生じた。例えば、オフショア課税や税務管理審議会(CARF)に関するMPは、法案として議会に差し戻して承認されている。
 政府がMP審議にこだわり、議会での採決を主張した唯一の例は商品流通サービス税(ICMS)の補助金変更に関するもので、12月に上院で承認後、大統領裁可に回された。MPを通じて制定すると課税ルール施行前の移行期間が不要だが、法案として承認されれば24年初めの数カ月間分の税収を失うためだ。
 第1期ルーラ政権の2004〜06年は20件のMPが議会によって拒否されたが、MPに対する議員の抵抗は少なく、160件のMPを承認した。だが、近年は議会がMPを審議しない例が増えている。やはりPTのジルマ政権の14年は14件のMPが審議前に失効。テメル政権(民主運動・MDB)の17年も23件が失効した。
 これらのMPが審議前に失効する要因の一つは、議員割当金という形の特別融資の開始の遅れだ。17年以降のMP175中62は特別融資に関するものだった。特定の資金が確保されるとMPは機能を失い、法律にする必要がなくなる。
 MPの数に関する苦情や論争は20年間続いており、政府によるMPの過度な利用が批判され、他の省庁の当局者らが糾弾されてきた。

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