経済成長=3年連続で予測上回るも=今年は減速して穏やかに

ルーラ大統領(Foto: Marcelo Camargo/Agência Brasil)
ルーラ大統領(Foto: Marcelo Camargo/Agência Brasil)

 ブラジル経済の成長率が3年連続で、中銀の経済動向予想調査「フォーカス」に参加しているエコノミストの予測を上回る見込みだ。国内総生産(GDP)の実績が市場予測を上回る状態は2021年から続いている。それ以前の3年間(18〜20年)は逆に、市場予測が経済の実勢を上回る状態が続いていた。12月31日付フォーリャ紙(1)が報じている。
 23年はインフレが予測を下回ったため、経済基本金利(Selic)は順調に引き下げられた。
 23年の年頭に予測されたインフレ率は5・42%だったが、23年11月までの12カ月間では4・68%だった。23年末のSelicも、年頭の予想では12・25%だったが、実際は11・75%で終わった。
 最も大きな違いが生じたのはGDPの予測で、年の始めの0・80%が2・92%に伸びた。
 23年は、雇用市場の回復と社会的プログラムによる所得移転に牽引され、消費とサービス部門が回復を示した。農業もアナリストを驚かせ、23年の経済を予想以上に成長させる要因となった。
 予測誤差は民間部門に限ったことではない。中銀はGDPを1%、公式インフレ指数のIPCAを5%と予想していた。中銀自体は為替レートや金利の予想は行っていない。
 24年のブラジル経済は再び減速すると予測されており、それに伴ってインフレや金利も低下する見通しだ。これは、世界的なインフレ抑制プロセスの継続や、それに伴う米国の金利政策の緩和、ブラジルの財政政策の進展、といった要因に依存している。
 米国連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、金融引き締めが終わりを告げ、利下げ機運到来を示唆した。米国金利が下がれば、リスクオンとなり、投資資金がより金利の高い新興市場に向かう。ブラジルの課題は、基礎的収支の赤字ゼロという目標を達成することだ。
 24年のGDP成長率は1・52%、インフレ率は3・91%、基本金利は年9%に低下し、年末の為替レートは5・00レアルになるとアナリストは予測している。財務省のGDP予想成長率は2・2%で、中央銀行はGDPが1・7%、インフレ率が3・5%と見ている。
 サンタンデール銀行は次年度の展望に関するレポートで、「24年はより建設的な状況となる見込みだ。先進国では穏やかな成長、景気後退なし、インフレ減速、金利引き下げサイクルの開始が期待される。一方、中国では経済の動きが安定すると見ている」と記述。「国内の状況は引き続き好転する見通しで、穏やかな成長、インフレ率の低下、Selic金利の下降トレンドが続くだろう。財政政策の進展を注視することが重要だ」とも強調した。
 資産管理会社のリオ・ブラヴォ社によれば、24年のもう一つの注目ポイントは労働市場の動向とし、「23年の活況に続き、ブラジルの失業率は中立の9・5%に近づくだろう」とコメントした。

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