共同通信=中川支局長が帰朝、高木さん着任=偶然居合わせ三権施設襲撃事件取材

中川千歳さん、高木勝悟さん

 共同通信サンパウロ支局長の中川千歳さん(ちとせ、45歳、千葉県出身)が帰国するにあたり、後任の高木勝悟さん(42歳、愛知県出身)と共に4日編集部を訪れた。
 新任の高木さんは羽田空港で航空機衝突事故が起きた数時間後、まだ混乱が続いている同空港から、遅れながらも出発して当地に到着したばかり。
 ブラジル人の人口が日本最多の愛知県出身で、「子供の頃にサッカーをやっていて、とんでもなく上手い子が来たと思ったらブラジル人だった」と思い出す。「自宅の近くにブラジル銀行支店があり、道に迷ったブラジル人からよく道を聞かれた」と当地に親しみを感じながら育った。
 2015~18年にはロンドン支局に勤務し、英国EU離脱や連続テロ事件などを取材。リオ五輪開催時には、助っ人として初めてブラジルを訪れたという。
 ブラジル人人口第2位の静岡県の支局にも勤務していた経験があり、「愛知県や静岡県の皆さんにもブラジルのことを身近に感じてもらえる記事を書いていきたい」との抱負を述べた。
 一方、同社から南米派遣された初の女性特派員の中川さんは、パンデミック真っ最中の2020年8月に赴任。「『コロナ』という言葉が入らない原稿を書く日が来るのかと心配だった」と笑う。
 最も印象深い取材を尋ねると、昨年1月8日の三権施設襲撃事件を挙げた。「ブラジル訪問中の林外務大臣の取材で首都にたまたま向かったら、空港に着いたところで助手から『アメリカの議事堂襲撃事件』と同じようなことが起きてます!」と緊急連絡が入り、まず一報を入れてから即現地に向かいました」という。
 「三権広場付近に到着して取材を始めると、暴徒鎮圧のための催涙ガス弾がバンバン撃ち込まれて目が開けられず、息苦しくなってこれ以上はダメだと、少し遠くに移りました」と世界的なニュースになった現場の緊迫した状況を振り返った。
 そのほか、バイレ・ファンキの取材のためにリオのファベーラに潜入取材した際、「薬物が普通に売られ、大型の機関銃のようなものを下げた人があちこちをうろうろしていて驚いた」と話した。
 日系人関係ではパラー州のトメアスー移住地で第1回アマゾン移民の山田元(はじめ)さんを取材し、「入植当時に大きな水蛇やジャガーに遭遇した話や、ご家族が突然、原因不明の病気などで亡くなられた逸話などお聞きし、移民史の深みを感じた」と述べた。
 中川さんによれば今までに赴任したテヘラン、ロサンゼルスと比べて、「ここが一番過ごしやすかった」という。11日に帰朝し、東京の外信部に戻る。

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