物静かな夫の正体は国際的極悪犯=何も知らない妻子の目前で射殺

ダルコ・ガイスラー容疑者(12日付G1サイトの記事の一部)
ダルコ・ガイスラー容疑者(12日付G1サイトの記事の一部)

 サンパウロ州サントス市の沿岸で5日、妻子の目の前で外国人男性が射殺された。当初、被害者はスロベニア国籍の「デジャン・コバック」と思われていたが、後にインターポールが指名手配中の極悪犯、セルビア国籍のダルコ・ガイスラー容疑者(43)だったこと判明した。ガイスラー容疑者は身分を偽り、9年間ブラジルで逃亡生活を送っていた。4年間共に暮らした同容疑者の妻は、夫の正体や過去について何も知らなかったと話しているという。12日付G1サイトなど(1)(2)が報じている。
 監視カメラが犯行の一部始終を捉えていた。ガイスラー容疑者は、自転車の後部に息子を乗せ、妻と共に帰宅した直後、手袋と覆面をした男に背後から数発撃たれた。病院に搬送中に心肺停止となり、死亡が確認された。
 G1が入手した情報によると、ガイスラー容疑者は架空の人物「デジャン・コバック」になりすまし、ブラジルで建具職人として働いていた。近所の人の話によると、彼は「控えめ」で「物静か」な印象だったという。
 しかし実際には、インターポールの国際手配書で最も要注意とされる「赤手配書」に載った凶悪犯だった。彼はスロベニアで活動する犯罪組織の一員で、東欧地域で複数の殺人行為、銃や爆発物の不法所持の疑いで逮捕状が出ていた。2014年12月、スロベニア・マフィアのボスの警護員を射殺した後、消息を絶っていた。
 ガイスラー容疑者はスロベニア国籍のパスポートを所有していたため、警察が在ブラジル・スロベニア総領事館に確認したところ、それは17年に紛失した別人のものだと判明。容疑者は偽名を使って9年間ブラジルに不法滞在しており、祖国で事業を営む家族からの仕送りで生計を立てていたとされる。
 容疑者はブラジルでの正式な身分認証を持っておらず、彼の3歳の息子は母親の姓のみで登録されていた。
 警察は現在、ガイスラー容疑者を銃殺した犯人の特定を急ぐと共に、同容疑者がブラジルで犯罪行為に関与していた可能性についても捜査を進めている。

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