中国建設大手=ブラジルのインフラに大規模投資=今後30年で120億レ

中国深センで開催中の「ブラジル・中ミーティング」の様子(10日付ヴァロール紙の記事の一部)
中国深センで開催中の「ブラジル・中ミーティング」の様子(10日付ヴァロール紙の記事の一部)

 近年、中国の建設業界が冷え込みを見せる中、同国の建設大手である中国鉄建(CRCC)がブラジルのインフラ投資プロジェクトに関心を示しており、今年4月に予定されている、サンパウロ州沿岸部の高速道214キロ分とミナス・ジェライス州~リオ州間の高速道(BR‐040)のコンセッション入札に参加することが10日に明らかになった。2件のプロジェクトを合わせると、今後30年間で120億レアル(約3600億円)以上の投資が見込まれている。同日付ヴァロール紙(1)が報じている。
 これは、中国南東部深セン市で10日から開催中の「ブラジル・中ミーティング」で、中国鉄建のデン・ヨン社長が明らかにした。世界140カ国で事業を展開する同社は、ブラジル政府の再工業化計画やインフラ整備は大きな投資の機会と見ており、既にバイア州サルバドール市とイタパリカ島を結ぶ橋の建設を担当している。2022年には1600億ドルの収益を上げ、フォーチュン500のランキングには17年連続でランクインしており、現在は世界第39位に位置している。
 「ブラジルと中国は非常に重要な発展段階にある。ブラジルの産業を再活性化し、アップグレードを進めることで、経済的な発展に寄与できる」とデン氏は述べた。
 また、ブラジルに進出している建設大手である中国中鉄(CREC)国際部門のイン・シンレイ副社長は、同グループはブラジル政府の経済活性化計画(PAC)のプロジェクトにも参加したいと述べ、建設やインフラ、モビリティの分野で協力する意欲を示した。
 中国の建設企業と協力して国際的な建設プロジェクトに従事している「Grupo Future」のジョアン・アンドラーデ社長によると、中国企業がブラジル市場に興味を持つことに驚きはないという。中国企業が世界的な大規模プロジェクトに参加するためにはブラジルのような規模の大きな市場が不可欠である上、ブラジルは法的な規制が厳しいことで、リスクが比較的低いことが魅力だという。しかし、同時に、利益率が低いという側面も指摘している。
 一方、両国間の文化的、ビジネス的、社会的な違いは、単に言語を翻訳しても消えることはない。例えば、中国企業は入札のほぼ半分の時間を社内での議論に費やすなど、認識面でのギャップを埋めるための努力が必要だと強調した。
 同氏は、ブラジルには現在のインフラプロジェクトを単独で処理する能力がないため、中国企業の資金力と経験が大いに役立つと主張し、双方が対話を深め、相互理解を深めることで持続可能な協力が進むとも述べている。

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