近年は環境への懸念と持続可能な代替手段の需要が高まり、二酸化炭素排出量を減少させる効果があり、よりクリーンで持続可能なエネルギー源のバイオ燃料がますます注目されている。このエネルギー転換は気候変動対策や農村経済に希望をもたらすが、生産時の懸念もあることを14日付カナル・ルラル(1)で、同サイトの政治経済アナリストのミゲル・ダウド氏が論説を寄せている。同氏は協同組合、農村組合、農業資材や農薬会社などのアグリビジネスの専門家だ。
バイオ燃料の重要性の第一要因には、二酸化炭素排出量の削減が挙げられる。バイオ燃料は大豆やサトウキビ、トウモロコシ、植物油などの有機原料から派生しており、化石燃料に比べて環境にやさしく、再生可能な資源から作られていることが特徴だ。これらのバイオ燃料も、燃焼時には二酸化炭素を放出するが、同燃料を生産するために使用される植物は成長中に二酸化炭素を吸収し、循環サイクルを生み出す。
また、エネルギーの供給源を異なる種類のものに広げることが可能となる。化石燃料への依存が続くと、エネルギー部門は原油価格の変動や地政学的な問題の影響を受けやすくなる。バイオ燃料は再生不能なエネルギー源への依存度を減らし、エネルギー供給源を多様化することで、持続可能性が向上する。
バイオ燃料の生産は、農村経済の推進や雇用の創出に寄与し、コミュニティの成長も促す。バイオ燃料の原料生産は生産者への直接的な経済的利益だけでなく、地元にも直接的な利益をもたらす。
一方、バイオ燃料の原料生産が持つ、潜在的で否定的な側面も懸念される。例えば、バイオディーゼルの原料となる大豆の生産が食料の生産と直接競合する場合、耕作地や水などの資源に関する競争が発生する可能性がある上、自然生態系の変換が、環境悪化や生物多様性の喪失を引き起こす可能性があることも懸念されている。
バイオディーゼル生産を優先することで食料生産が不足するリスクもあり、これによって食料価格が上昇し、食料安全保障に悪影響を及ぼす可能性もある。
コンサルタント会社「サフラス&メルカド」が発表した予測によると、2024年の大豆輸出は9500万トンと推定され、23年の1億1086万トンから大きく減少する見込みだと、15日付アグロファイ・ニュースが報じた(2)。
これは昨今の気象不順の影響を受けたマット・グロッソ州などで生産量が減少したためだが、その一方で、24年の国内消費は10%増の950万トンが見込まれている。特に目立つのはバイオディーゼル用で、需要の大幅な拡大により、18%増の520万トンと予想されている。
ダウド氏は同論説で「地方の小規模生産者にバイオディーゼル原料の生産を奨励することは有益だが、食糧生産と環境への重大なダメージを避けるためにバランスの取れた方法で課題に対処することが不可欠だ」と締めくくった。