失われたアマゾン古代都市発見=最新技術で常識覆す全容明らかに

エクアドルのアマゾン地域で、道路で結ばれた古代都市ネットワークをレーザー光で特定(12日付G1サイトの記事の一部)
エクアドルのアマゾン地域で、道路で結ばれた古代都市ネットワークをレーザー光で特定(12日付G1サイトの記事の一部)

 南米エクアドルのアマゾン地域に約2500年前の都市が発見され、これまでに見つかっていたアマゾン古代遺跡より千年も古いと、12日付G1サイト(1)が報じている。
 今は森に覆われているこの地域には、道で繋がれた村々があり、最大で3万人が住んでいたとみられ、これはローマ時代における英国ロンドンの人口に匹敵する。ヨーロッパ人が到来する前のアマゾン地域にはほとんど人が住んでいなかったという概念は、近年揺らぎつつある。
 アンデス山脈の森林地帯の現在埋もれている道や盛土(低い地盤や斜面に土砂を盛り上げて平坦な地表を作ること)は、フランス人考古学者のステファン・ロステイン氏が20年以上前に初めて注目した。フランス国立科学研究センターで研究部長を務める同氏は11日、科学雑誌サイエンスで「当時は、それがどう組み合わさっているのか、確信が持てなかった」と報告した。
 ライダー(LIdar)と呼ばれる航空レーザー光を使ったマッピング技術により、森林に覆われた地表のデコボコを検知することが可能となった。飛行機、ヘリコプター、ドローンから地表に向けて赤外線を発射し、反射信号を捕捉して凸凹を検知する航空レーザーマッピング技術だ。これにより古代の場所を復元することができ、これまでの研究に革命をもたらした。
 レーザーセンサー技術を使った最新の地図作成によって、これらの遺跡は森林の斜面に隠れた道路や運河で結ばれた密集した都市網の一部であり、およそ千年間続いた「失われた都市」であることが明らかになった。
 このエクアドル東部にあるウパノ渓谷の集落は、紀元前500年頃から紀元後300~600年の間に築かれていた。これは同地域における以前の知見よりも千年以上も古い。例えば、ペルーのマチュピチュは15世紀に作られた。
 共同研究者の考古学者フェルナンド・メヒア氏は、当時の都市計画について、次のように言及した。研究者たちは300平方キロメートルにわたり、大小合わせて15の居住地を特定した。各入植地は住居や儀式用の構造で密集しており、これらの建造物の基盤となると考えられる盛土が6千カ所見つかった。
 これらの都市は長方形の農地が点在し、丘の斜面には段々畑が広がっていた。各集落の住民はそこで、トウモロコシ、キャッサバ芋、サツマイモなどを栽培していた。同地域は農業に適した豊かな土壌を持つ火山の陰に位置し、同時にそれが社会の崩壊を招いた可能性もあると指摘している。
 幅広くて直線的な道路が都市を結び、通りは各集落の家々や地区を通り抜け、最大の道路は幅10メートルで、10〜20kmにわたって広がっていた。
 考古学の専門家らによると、これは複雑な社会を示すものであり、これらの道路や数千の盛土を建設するには、組織された複雑な労働システムが必要だったはずと指摘する。
 同技術は、2022年5月26日のG1(2)で報じた、ドイツの研究チームが行った調査にも用いられ、ボリビアのアマゾン地域にも先コロンブス時代の「都市」が存在していたことが明らかになった。西暦500年から1400年の時期に栄えていたとみられている、高さ22メートルのピラミッドを含むカサラベ文化に属する遺跡が発見されていた。
 アマゾン地域は「手つかずの荒野」で「少人数の人々しか住んでいなかった」と思われていたが、最近の発見により実際はもっと複雑な社会があったことが判明しつつある。

最新記事