出入国在留管理庁は昨年12月22日、日系4世受け入れを拡大するため、在留資格制度を改正すると発表し、年末から実際に運用を始めると、22日付の時事通信、日本経済新聞、朝日新聞など日本メディアが一斉に報じた。
最大の目玉は、5年間の在留や日本語能力で上から2番目のN2相当などの条件を満たせば、3世までのビザと同じ、無期限の滞在が可能な「定住者」在留資格への変更を認めるというもの。就労の制限はなく、家族の帯同も認められる。
これまでは「特定活動」の資格で、最長5年間の滞在後は帰国が前提だった。これに対し、ブラジル日系5団体も22年に続いて23年にも要望書を日本政府に提出し、4世ビザの要件緩和を訴えていた。
現行制度は4世が働きながら日本語や文化を学べるよう2018年に導入され、年間4千人受け入れを想定していたにも関わらず、実際には22年末時点の在留者数は128人にとどまり、制度が厳しすぎると改正を求める声がブラジル日系代表団体からも出ていた。
今回の改正で、年齢の上限も引き上げ、入国時点でN3相当の日本語能力がある場合は35歳まで認める。これまでは18歳から30歳までだった。
同様に、4世の生活状況の報告や入国前の手続きなどを支援する「サポーター」に関する制限も緩める。現在は支援が5年間必要だが、今後は3年間を超えて在留している場合には不要になる。
昨年9月に日本政府に提出されたブラジル日系5団体からの要望書では、現状では家族帯同が5年間も認められないのは人権上問題があるとの見方を示し、入国から2~3年後に家族帯同が認められる「定住者」資格に変更できるように要請。その他、入国時の年齢制限の撤廃もしくは年齢上限の大幅な引きあげを求めていた。
今回の入管庁の改正は、ブラジル日系5団体の要望に比べれば、まだまだ現状維持の方向にあることが伺える。ブラジル日系5団体からは「もっと入り口の敷居を下げてほしい」と要望されているが、〝狭き門〟自体はあまり変えず、門をくぐった人だけに奥行きを与えたというタイプの制度緩和のようだ。
詳細は、出入国在留管理庁サイト(https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri07_00166.html)で確認を。