サンパウロ州ミランドポリス市第1アリアンサにある弓場農場で、昨年12月25日と30日の2回にわたって恒例のクリスマス及び年末公演が開催された。ここ数年はコロナ禍で、オンライン映像での配信が行われていたが、今年は農場周辺地域やサンパウロ市などからの観客が詰めかけ、盛況を博していた。
30日午後7時半から行われた年末公演では、同農場の矢崎勇会長が最初にあいさつ。「私たちは毎年、クリスマスの12月25日と30日に舞台公演を行っており、今年(2023年)は9月頃から練習を始めました。こうして大勢の人を迎えて開演できることは本当に嬉しく、今日は練習の成果を大いに発揮したいと思いますので、最後までゆっくりご覧下さい」と述べた。
公演は、「音楽」「バレエ」「芝居」の3部構成で実施。音楽の部では、オーケストラ『人生のメリーゴーランド』を皮切りに、ピアノ、フルート、クラリネット等による器楽演奏や『花』『ハレルヤ』等の合唱、『桜の森の満開の下』の朗読も行われた。
バレエの部では、子供たちによる『春』をはじめ、踊り手それぞれのオリジナルの動きを取り入れたという新作の『コスモ』が披露。フィナーレでは踊り手全員が出演する中、往年のバレエ指導者である小原明子さん(88、東京都)が白装束の車椅子姿で登壇し、音楽に合わせて両手を広げながら表現した。
芝居の部では『アリババと40人の盗賊たち』が演じられた。
同作は、「開け、ゴマ!」という呪文で有名な『アリババと40人の盗賊』をモチーフに創作された作品。人の良いアリババがロバを連れて山で薪を集めていた際、偶然、盗賊たちが奪った宝を洞窟に隠しているのを目撃した。盗賊が立ち去った後に自身も「開け、ゴマ」と唱えて金貨など財宝の一部を持ち帰ったアリババは裕福な暮らしを送ることに。しかし、強欲な兄カシムがそのことをアリババから聞き出し、自身も財宝を手に入れようとするが呪文を忘れて盗賊に殺されてしまう。アリババが財宝を盗んだことを知った盗賊の頭領は手下を連れ、油商人に扮装して殺そうとアリババに近づくが、それに気づいたアリババ夫人が「剣(つるぎ)の舞」に見せかけながら頭領を返り討ちにするという筋書きだ。
舞台では盗賊役の子供たちのコミカルな動きが会場の笑いを誘い、特に主役アリババをつとめた弓場苗子(なえこ)さん(58、2世)、兄カシム役の矢崎勇さん(43、3世)、盗賊の頭領役の弓場大五(だいご)さん(39、4世)たちベテランの好演が観客を魅了した。
弓場紅白歌合戦は白組優勝
12月31日の大晦日は午後8時から生バンドによる弓場農場の紅白歌合戦も開催され、男女22組が出場。中間発表では紅組317点、白組302点と紅組が優勢だったが、最終発表では紅組の654点に対して白組が669点と逆転し、優勝を果たした。最後は全員で『蛍の光』を歌って歌合戦を締めくくった。