毒グモに噛まれて指を切断=組織壊死、死に至る場合も

毒グモに噛まれ壊死した左手人差し指(9日付ストラ・サイトの記事の一部)
毒グモに噛まれ壊死した左手人差し指(9日付ストラ・サイトの記事の一部)

 サンパウロ州南部海岸部プライア・グランデ市で、男性が就寝中に左手を毒グモに噛まれ、人差し指が壊死したため、切断を余儀なくされた。噛まれた直後に地元の公共緊急診療所(UPA)で2度診察を受けたが、きちんとした処置がされず、3回目に別のUPAでやっと抗毒血清の治療が行われた。医療機関側に過失があったとして、男性はその不手際に対する賠償を求める可能性があるという。18日付のG1サイトなど(1)(2)が報じている。
 ウィルケル・ギマランイス(31)さんは昨年12月28日、就寝中に強烈な痛みを感じて目が覚め、指の腫れと小さな傷があることを確認した。「痛みを感じて2時間後にUPAへ行った。担当した医師はクモかサソリの可能性があると言ったが、抗アレルギー剤と鎮痛剤を処方しただけだった」とG1に語った。
 彼は帰宅後、自分の部屋にクモがいるのを見つけた。その後、彼はUPAに戻り、目撃したクモと症状、最初の医師からもらったアドバイス等を別の医師に報告したが、追加の薬を処方されただけだった。
 翌29日になっても強烈な痛みは消えず、患部は紫色に変色してきたため、ウィルケルさんはUPA中央医療センターに行くことにした。そこでやっと適切な血清を投与されたという。
 その後入院し、整形外科医の治療を受けたが回復の兆しは見られず、13日、ウィルケルさんは人差し指を切断する手術を受けた。幻肢痛(事故や病気が原因で体の一部を失ったにも関わらず、その部位に痛みを感じる現象)の症状が見られるといる。
 彼の職業はウェイターだ。以前は右手でトレイを持っていたが、今は左手でトレイ、右手で配膳を行なっており、サービスに支障が出ている。「働きにくいが慣れるしか道はない」と話した。
 ウィキペディア「Loxosceles」項によれば、この毒グモは「aranha-marrom (茶色グモ、学名Loxosceles sp)」で、壊死性の咬傷で知られるシカリ科の毒グモだ。全長3~4cmで体はその3分の1程度。体は茶色。夜行性で動き回り、夏に活発に活動する。
 本来はそれほど攻撃的なクモではなく、人を攻撃することはめったにない。だが衣服を着る時や靴を履く時など体に押し付けられたとき、防御の一形態として咬む。噛まれた直後は痛みがほとんどない。だが咬傷を治療せずに放っておくと、毒が回って組織の壊死、腎不全、場合によっては死に至る可能性がある。
 万が一刺された場合は、被害者をできるだけ早く最寄りの医療機関に連れて行き、種の同定と血清の必要性を確認するためにクモ(生死を問わず)を連れて行くこと。
 ブラジル南部地域(主にパラナ州)では、このクモによる被害が頻繁で、2004年には約3千件も発生した。
 彼は最初に適切な治療を受けていれば、左手の人差し指を切断する必要はなかったかもしれないと信じており、彼はUPAを管轄するプライア・グランデ市と自宅マンションの管理会社を相手取って裁判を起こすつもりだという。

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