デング熱=タケダ製ワクチンが到着=流行中のリオ市も対策強化

10〜14歳の若年層はデング熱による入院患者の大半を占めるため、ワクチン接種が優先される(Foto: Wilson Dias/Agência Brasil)
10〜14歳の若年層はデング熱による入院患者の大半を占めるため、ワクチン接種が優先される(Foto: Wilson Dias/Agência Brasil)

 【既報関連】日本の武田薬品工業が保健省に無償提供したデング熱ワクチンが20日、ブラジルに到着した。保健省によれば、初回分は約75万回分で、さらに57万回分が2月に到着する予定。11月までには保健省が購入した520万回分を含む計652万回分が到着予定で、2024年中には約320万人が接種を受けることができると見込んでいる。21日付エスタード紙など(1)(2)が報じている。
 民間の医療機関の一部では、既に昨年からワクチンを提供しているが、統一医療保健システム(SUS)では2月から予防接種が開始される予定だ。最初は、デング熱患者が多い市町村に住む10〜14歳(最も入院患者が多い年齢層)のみが予防接種を受けることになる。
 保健省は「全国保健局長審議会(Conass)や全国市保健局長審議会(Conasems)と共同で、罹患者が多く、予防接種を優先する地域を決めるための基準を設けた。これは、予防接種技術諮問会議所(CTAI)と世界保健機関(WHO)の勧告に従っている。保健省によると、「同ワクチンの接種は、過去10年間の感染率が高く、人口が10万人以上の大規模市を擁する保健地域を優先し、ここ数カ月間の感染率の高さも考慮する」という。優先市のリストとワクチン接種計画は、数日中に保健省から発表される予定だ。
 本来なら高齢者は子供より優先されるが、この年齢層への適用はまだ、国家衛生監督庁(Anvisa)の認可が出ていない。認可が下り次第、高齢者もワクチンスケジュールに含まれる予定だ。
 同省によると、24年はワクチンが十分に供給できない上に、ワクチンは2回の投与が必要だが、投与間隔は3カ月とされているため、接種はリスクのある特定のグループに焦点が当てられる。
 一方、リオ市保健局(SMS)は、夏季における気温上昇と雨量増加により、ウイルスを媒介する蚊の繁殖サイクルが促進されることを懸念し、対策を強化している。(3)同市では昨年中、2万3542件の感染例と6人の死者が報告された。
 同市保健局長のダニエル・ソランツ氏は、「デング熱を媒介する衛生害虫であるネッタイシマカの繁殖地はほとんどが家庭内にあり、市民一人ひとりの協力が不可欠だ。水がとどまる場所、例えば水槽や排水溝、雨どいなどを清潔に保つ必要がある」と述べた。
 保健監視チームは、夏期計画で定められたデング熱媒介蚊の予防と対策を強化している。23年には1100万件以上の家屋を検査し、繁殖場所となりうる容器200万個以上を撤去した。今年はすでに6万4千件の家屋が検査された。
 疫学情報センター(CIE)はデング熱の蔓延レベルの監視に、ネッタイシマカの迅速指数調査(LIRAa)を利用している。調査では、特徴が似ている家屋を8200〜1万2千軒毎にまとめ、各グループの20%を監視員が訪問調査する。23年は10万3千軒の家屋の調査が行われた。CIEが使うもう一つのツールは、市内に戦略的に配置された2668個の「オビトラップ(卵収集器)」で、蚊の拡散レベルを示す。
 同市保健局は、アルボウイルス(蚊やダニなどの吸血昆虫が媒介し、人や家畜等に感染するウイルスの総称)による感染症予防策に関する教育活動と社会的な啓発活動も強化している。これらの取り組みは、かかりつけの診療所と自治体の保健センターからなるプライマリ・ケアネットワークや、市教育局(SME)との提携による学校内保健プログラム(PSE)を通じて実施されている。

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