ブラジル北東部のリオ・グランデ・ド・ノルテ州内陸部を流れるアスー川で20日、遊泳中の人々がピラニアに襲われ、2人が怪我をした。翌21日にも同じ場所で3件の被害があり、同州ペンデンシアス市などの自治体は市民に対して川に入らないように勧告し、該当エリアの閉鎖を検討していると、21日付G1サイトなど(1)(2)が報じている。
鋭い歯と強靭な顎を持ち、強い咬合力が特徴の肉食魚ピラニアは、攻撃的な性格で知られている。市当局によれば、2023年には2カ所の遊泳区域で18件の被害が報告された。ピラニアは泳いでいる人々の手や足の指に噛みつき、肉を引きちぎる。
同市のエゼキアス・フロレンシオ環境局長によると、アスー川はピラーニャス川(ピラニア川)としても知られ、昔からピラニアが生息していたが、昨年から襲撃が増加しており、その背景には、生態系のバランスが崩れていることに起因しているという。
同氏は、「残念だが、人々はその事実を受け止めず、環境に十分な注意を払っていない。そこで酒を飲み、食べ残したものを川に捨てる。生き物たちは残飯に慣れてしまい、これが生態系のバランスを崩す。自然界にない食物を食べなれたピラニアは、食べ物がなくなると人間を襲ってくる」と説明した。
また、「ピラニアが出没する川ではあるが、大河にもかかわらず襲撃があったのは2カ所だけ。この川は漁師が多く、遊泳エリアは他にもあるが、襲われたのは同じ場所だ。それこそがその場所でのバランスの崩れを証明している」と述べた。州立大学の研究者による分析も進められている。
昨年は市と研究機関が協力し、住民に啓発のための説明会を行ったという。一時的に立ち入り禁止とし、遊泳エリアに危険を警告する看板を設置した。
「閉鎖措置に従わない人もいるため問題だが、我々はできる限りの措置に努めている」と話した。