日本の農林水産省は14日、サンパウロ市ジャルジン区のチボリホテルで、日本産水産物活用促進活動の一環として、北海道産ホタテと愛媛産ブリのPRイベントを行った。会場には、現地レストランシェフやオーナー、現地メディアやインフルエンサー、日系人団体など100人以上が参加した。
イベントでは日本から直輸入した食材を使って、ブラジル屈指のシェフが、ホタテ入りラーメンや、ブリのバターホイル焼きなどを振舞った。
イベント講師を務めたブラジル北東部料理レストラン「mocoto」のロドリゴ・オリベイラシェフは「素材のポテンシャルが高い。ぜひ素材そのままの味を生かした料理に使いたい」と話した。同店はミシュランガイドにも掲載されている。
サンパウロ市ビラ・マダレーナ区のレストラン「La Cura」のイヴァン・サンチーニョシェフは「現在伯国で流通しているホタテと比べると北海道のホタテは大きくて歯ごたえがある。ホタテもブリも新鮮なので、ぜひ生食で提供したいですね」と語った。
ブラジルでホタテは、カナダ産、北米を経由して輸入された北海道産が流通している。日本からの直輸入は初の試みとなった。
イベント開催の背景には、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出に対する中国の日本産水産物の輸入停止措置がある。農林水産省では、日本産水産物の輸出量低下を防ぐため、各国で販路拡大活動に取り組んでいる。
農林水産省の浅野大介参事官は「参加者の反応は良かったと思います。今後の商談に繋がれば嬉しいです」と話した。
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浅野参事官によれば、今回輸入したホタテは年明けに日本を出発し、余裕をもってイベント開催一週間前には当地に着く予定だった。
しかし、2日に起きた羽田空港での飛行機衝突事故の影響で、ホタテがサンパウロ州コンゴーニャス空港に到着したのはイベント3日前の11日。
さらに不運は重なり、税関のストライキに巻き込まれ、税関審査が受けれない事態に。
望みを捨てず、関係者への折衝を続けた結果、ホタテはイベント開催前日の夜8時30分に受け取ることが出来たという。
ハプニングに見舞われるものの、ぎりぎりのところでなんとか解決してしまうなんともブラジルらしいエピソードだ。