物を捨てることができずに住環境が乱れ、清潔で安全な状態が保てなくなる精神障害「ため込み症」――サンパウロ市にも不衛生な「ゴミ屋敷」で暮らす人がおり、サンパウロ市が処理した大量の衣服、無数の空容器、動物の死骸などの廃棄物は2022年には426トン、2023年には218トンにも上る。
市によれば22年に登録されたため込み症例は305件、23年には5%増加して321件となった。これらは市保健局が監視すると同時に、デジタルインフルエンサーがボランティアで清掃活動や精神的サポートを行って成果をあげていると23日付G1サイト(1)が報じた。
北部地区の3階建て豪邸に住む43歳の女性は、3年以上にわたって物をため続け、劣悪な環境下で暮らし、敷地内のプールは緑色を帯びて泥沼と化していた。市保健局員が治療の為に女性を搬送し、ペットは保護活動家によって引き取られた。最終的に13・8トンの廃棄物が撤去された。
インフルエンサーのギリェルメ・ゴメスさんは20年に清掃プロジェクト「ギーの日常」を立ち上げ、主にサンパウロ州とリオ州の特に劣悪な住環境の改善活動に従事している。
最近ギリェルメさんが携わり、特に注目を集めた事例の中に、サンパウロ州ジアデマ市に住む一家のケースがある。母親と4人の子供が、糞便やゴキブリだらけの状態で生活。彼は清掃だけではなく改修工事も実施し、その過程をSNSに投稿。その前後の激変ぶりは多くのフォロワーに衝撃を与えた。「ため込み症の人々がだらしなく不潔だという社会の偏見を打破したい。彼らは病気であり、その真実を明らかにすることが目標。ネットは時に破滅を与えるけど、同時に多くの人生を変えることも可能だ」と述べた。
エレン・ミルグラウさんもボランティア清掃を行うインフルエンサーの一人。インスタグラムで100万以上のフォロワーを持ち、22年から始めた清掃プロジェクトではすでに30件以上の依頼に応えた。
プロジェクトのきっかけは、友人がうつ病に苦しんでいたことだった。その友人の生活環境を整理する手助けとして始められた。「苦境にいる人へのサポートに力を入れている。私も深いうつ状態に陥ったことがあった。このプロジェクトの目的の一つは、うつ病や不安症は『冷たい人』でも『意志力がない』わけでもないことを示し先入観を変えること」と説明した。
彼女の活動もボランティアで、SNSを通じて資金調達キャンペーンを行い、フォロワーからのサポートを得ている。彼女は自分の家から冷蔵庫やベッドを寄付するなど、できる限りのサポートを提供する。
エレンさんもギリェルメさんと同様、訪れた家で動物の死骸や害虫を見てショックな状況に直面することもある。彼女は「確かに苦痛を感じることはあるけど、掃除が終わって家の変化を見たら嫌なことなんて忘れるわ」と語った。