アマゾン川河口にある北部パラー州マラジョー島の公立病院で24日、バイク事故による鎖骨の緊急手術を受けるはずの女性が、誤って子宮を摘出されるという信じがたい医療ミスが発生した。病院側は、この間違いは別の患者のカルテと入れ替わっていたことに起因し、医師や看護師が手術前の本人確認を怠ったことを認めているという。29日付ノチシア・マラジョー(1)(2)などが報じている。
ロサンジェラ・プレーザさん(42)は事故後、救急医療施設に搬送され、その後マラジョー地域公立病院に移された。しかし手術当日の24日、本来の鎖骨手術ではなく、子宮摘出手術が実施されてしまった。
麻酔から覚めたロサンジェラさんは、子宮を失った事実を知り、身体的・精神的な苦痛に苦しんでいる。彼女は取材に対して「人生を台無しにされた。早く回復して仕事に戻りたかったのに、全く別の結果になってしまった。以前と同じ人生にはもう戻れない」と悲しそうに語った。
彼女は4人の子供を持つシングルマザーだ。一家の大黒柱として懸命に働いていたが、子宮摘出の回復には4〜6カ月ほど安静にする必要があり、その間、子供の送迎ができなくなることを懸念している。彼女はさらに子供を持つことを望んでいたが、子宮を失ったことで望みを絶たれた。
ロサンジェラさんの家族は、手術を行った産婦人科医が誤りを認める会話を録音していた。
その医師は「手術室の混雑ぶりをご覧になったでしょう? 私は80歳の女性を手術したばかりで、子宮を摘出するもう一人の患者を待っていたんです。何が起こったかって? 身元の混同がありました。ロサンジェラさんはマリアという患者として識別され、マリアのカルテで私の手術室に案内され、マリアとして子宮が摘出されたのです」と説明。事前に確認を取らなかった看護婦のミスによるものだと、自己正当化しようとした。
さらに医師はその状況を「ポジティブ」に言い換え、彼女が子宮を摘出したことで、がんのリスクが低下し月経の煩雑さがなくなり、更年期に入ることもないと述べた。「月経がなくなるだけのこと」とも発言した。
本来行われるべきだった鎖骨の手術は、子宮摘出手術の2日後に実施された。
ロサンジェラさんとその家族は、医療ミスによる物的損害と審美的損害の両方に対する賠償を求める法的手続きを開始しており、病院の過失の責任を問うべく弁護士の指導を求めているという。
パラー州公衆衛生局(Sespa)は、同院の運営を担当する社会保健機関(OSS)と共に同件を調査中であるとの文書を発表した。