1月26日付カルタ・カピタル(1)によると、南米ベネズエラの最高裁は同日、マドゥロ大統領の対抗馬になると見られていた野党指導者エンリケ・カプリレス氏に対し、ミランダ州知事時代の職務上の不正行為を理由に、大統領選出馬禁止を決定した。別の野党候補者マリア・コリナ・マチャド氏にも同様の決定が下された。これを受けて米国は、ベネズエラに対し制裁を再開させる方針だと1月30日付コレイオ・ド・ブラジルなど(2)(3)が報じている。
カプリレス氏は不正の疑いで科せられた制裁に異議を申し立てていたが、今回の決定が確定した。
一方、元国会議員のマチャド氏は反対派の大統領候補としての広範な支持を得たが、政府に対する制裁支持や汚職の疑いにより、15年間の公職追放処分が続いている。
マドゥロ政権と反対派は今年に入り、国際監視団の立ち会いのもとで自由で公正な選挙を実施することに合意し、これに基づいて米国はベネズエラに対する制裁を一部緩和し、シェブロン社などの企業に制限付きの石油採掘を再開することを許可していた。
しかし、今回の有力野党候補の大統領選出馬禁止決定を受けて、米国はベネズエラに再び制裁を発動。米財務省は米国企業に対し、金の採掘と販売を専門とするベネズエラ国営企業ミネルベンとの全取引を、2月13日まで停止するよう命じた。
この野党議員出馬禁止に対し、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、エクアドルなどの南米諸国は非難する立場を示す一方、ルーラ大統領は沈黙を保っている。同じく左派政権であるコロンビアやメキシコも同様にコメントを避けている。
ルーラ氏は大統領復帰以来、マドゥロ政権を支援してきた。5月にはブラジリアで行われた南米諸国の首脳会議に迎え入れ、南米諸国連合(UNASUL)再建に向けて一歩前進したとみられた。
ただし「独裁者」マドゥロに寄りそうルーラ氏の姿勢には、一部首脳から反発を招いており、特にウルグアイのルイス・ラカジェ・ポウ大統領(中道右派)とチリのガブリエル・ボリッチ大統領(左派)から抗議を引き起こした。
一方、ベネズエラのデルシー・ロドリゲス副大統領は、米国による制裁再開後の30日、米国の態度を「度を越した不当な恐喝」と非難し、対抗措置としてベネズエラ移民の強制送還を含むあらゆる協力措置を停止すると発表した。(4)
同副大統領はXで「もしベネズエラに対する経済攻撃を強化するという過ちを犯せば、過激派たちの要求に従う結果となる。10月に再開された米国からのベネズエラ移民の送還便は、2月13日付で即座に撤回されるだろう」と述べた。