映画配給会社の佐藤カンパニーは4日、宮崎駿監督が10年ぶりに手掛けた『君たちはどう生きるか(ポ語題O MENINO E A GARÇA)』(スタジオジブリ)の先行上映会を、サンパウロ市リベルダーデ区のブラジル日本文化福祉協会(文協)大講堂にて行った。当日は招待上映会、一般上映会を併せて5回行った。全ての上映会で客席は満席となり、1日で延べ5000人以上が来場した。
同作は、宮崎駿の半生をモチーフに、子どもたちへこの世界でどう生きるかというメッセージを贈るファンタジー映画となっている。あらすじは、戦時中に、火災で母を亡くした主人公の眞人(まひと)が、その2年後に父親と共に疎開して東京を出る。疎開先には父との子を妊娠している母の妹・夏子がおり、共に暮らすことに。そんな中、喋る鳥の青サギと出会う。青サギは眞人に「母親は死んでいない」と囁き、屋敷の側にある古い塔へ導いていく。
上映会中、コミカルなシーンでは大きな笑いが起きるなど、観客は夢中になって映画を楽しんだ。上映後、「素晴らしかった」と感想を述べる者が多かった。感動して涙したという人は見受けられなかった。
上映会に参加したマリアーナ・デッルセーキさん(36)は「これまでのジブリ作品の多くは感情に訴え、真面目で、笑わせるところが少なかったけど、今回はコメディ要素が多くあってつい笑ってしまった」と話した。
マリアーナさんと共に鑑賞したラリッサ・オリベイラさん(26)は「宮崎監督がまた作品を作ってくれて嬉しいです。伝統的な表現技術と現代的な表現技術のどちらも使っていてとても素晴らしかったです」と宮崎監督復活の喜びを露わにして語った。
左腕にジブリ作品『千と千尋の神隠し』のキャラクターのタトゥーを入れているデリキ・ヴィクトリーノさん(29)は「今回の作品は僕のお気に入りジブリ作品ベスト3に入ります。旅を通じて表現される宮崎監督の母に対するメッセージが素晴らしかったです。この作品は他の作品より少し重く、真面目で、成熟していると思います」と語った。
リアーナ・ナカムラさん(29)は「戦争と死、少年が戦いに挑む映画でした。主人公の視点で物語を見ていたので内容を理解するのに時間がかかりました。アニメーションも凄く綺麗で、特に重要な部分になる火の描き方は秀逸でした」と述べた。
レオナルド・カマルドさん(36)は「今回の作品も勿論、素晴らしかったけど期待外れでもありました。沢山の事柄があってごちゃごちゃしていました。メッセージも大きすぎると感じました」と率直な意見を述べた。