5日、イグアスの滝があるフォス・ド・イグアス市から橋を渡ったパラグアイ側の国境の町シウダー・デル・エステ市にある外国為替労働者協会で、まるで映画のような大胆な強盗事件が発生した。強盗団は長さ180m、直径70cmのトンネルを掘って金庫に侵入し、1600万米ドル(約24億円)を奪った。ブラジルの犯罪派閥が関与しているとみて捜査が進められている。6日付オ・グローボなど(1)(2)が報じている。
現地紙によると、犯罪が発覚したのは週明けの5日早朝。同協会職員が金庫を開けようとしたところ、鍵の破損に気づき、鍵屋を呼んで金庫を開けると、あるはずのお金がなくなっていた。金庫を利用していた148人の為替業者が総額1600万米ドルを奪われる被害にあった。
現場には警報とセンサーが設置されていたが、3日の早朝に2度、何者かによって変電所が襲われ、同地域は数時間に渡って停電に見舞われていた。パラグアイ捜査当局によると、この事件にはサンパウロ州最大の犯罪組織「州都第一コマンド(PCC)」のメンバーが関与し、パラグアイ犯罪者グループと手を組んで犯行に及んだ可能性があるという。
強盗団はトンネル掘削を気づかれないようにするため、吸音材を使って地下での作業音を低減させる対策をとり、掘削機器、動作感知センサー、油圧ジャッキを使用していた。
国境での捜索活動を強化し、ブラジル連邦警察も捜査に参加して犯人の行方を追っているが、まだ特定されていない。両国を巻き込んだPCC関連の犯罪はこれが初めてではない。
2017年には、やはりシウダー・デル・エステ市にある警備輸送会社のプロセグール社がライフル、機関銃、手りゅう弾で武装した約50人のグループによって爆破され、現金が強奪される事件が発生した。強盗団は少なくとも1億2000万レアル(約36億円)を奪った。逃走の際、15台の車両に放火し、警官1人が死亡。爆発物は付近の住宅と自動車販売店に損害を与えた。
当時パラグアイ国家警察も大胆な犯行手口から、この大規模強盗事件はPCCによる犯行ではと疑っていた。同犯罪組織はすでにパラグアイで拡大過程にあった。