3日付アジェンシア・ブラジル(1)で、ペルナンブコ州やアラゴアス州で赤潮による中毒が400件以上起きたとの記事を見、赤潮の怖さと人間による環境破壊の恐ろしさを思い知らされた。
それによると、ペルナンブコ州の保健局職員が病院のカルテを確認した結果、赤潮中毒と思われる症状で1月26~30日に受診した漁師やサーファー、海水浴客は278人。患者が多かったのは、州南部のイポイジュカ市マラカイペ海岸からタマンダレ市にかけてだという。
この数は疑似症例と言うべきで、因果関係は分析中だ。だが、1日の州保健局の報告によると、赤潮発生を警告した漁師達も約200人が発症し、従来より強い赤潮が発生したと語っていたという。
アラゴアス州でも200人以上が中毒症状を起こしたが、州の環境研究所が2日に北部海岸で行った上空視察では、赤潮発生を招く藻などの大量発生を示す兆候は見つからなかったという。研究所職員らが採取した海水の分析結果はまだ出ていないが、調査を行った海岸では赤潮発生を示す臭いや変色などは確認されなかったという。
ペルナンブコ州保健局は、中毒患者発生地域や臭気、変色のある異変水域には近寄らないよう、海水浴客らに指導。一方で3日には、臭気や変色には要注意だが、海や海岸を避けたり、海産物を食べないといった行動は不要とした。
コラム子も、赤潮は工場や家庭が流した排水に含まれる窒素やリンなどの養分が大量に海に流れ込むことで植物プランクトンが過剰発生し、海面が変色する現象で、養殖場の海苔や魚などにも影響が出ることは知っていたが、この記事を読むまでは人間にも中毒症状が出るとは知らず、不学を恥じた。
また、ウキペディアなど(2)(3)により、有害プランクトンによる赤潮には「有害藻類ブルーム」という名前があることや、異常発生したプランクトンの死骸は海底で分解され、その際に生じた硫化水素が台風などで海面まで対流すると海が青くなる青潮が起こること、硫化水素は毒性が強く、海水中の酸素もなくなって魚や貝が大量死することなども改めて知った。
赤潮も青潮も汚れた排水が原因で起きるものだから、原因は人が作っていることになるが、プランクトンの異常発生で発生した赤潮や青潮が、魚や貝などだけでなく、人間にも害を及ぼすという事実には襟を正される。
気候変動も人間の活動が招いたものだし、赤潮や青潮の原因も人間が作っているという事実は、真綿で首を締めるという言葉を思い出させる。自然や動植物との共存が必要と言いながら、自然を壊し、動植物だけでなく、人の命まで危うくするのが人間だと自覚し、方向転換を図るよう、促された記事だった。(み)
(2)https://ja.wikipedia.org/wiki/赤潮
(3)https://holdings.panasonic/jp/corporate/sustainability/citizenship/pks/library/006sea/sea007.html