13日、12日現在のデング熱の疑似症患者の数は51万2353人、死者も確認済み75人、死因確認中が217人(340人との報道もあり)との報に息をのんだ(13日付G1サイトなど(1)(2)参照)。疑似症患者の数は昨年同期の12万8842人の約4倍とあっては何をか言わんだ。
ニュースを聞きながら、この間、40万人を超えたばかりなのにという気持ちと、その割に、身近なところで体調を崩した人はデング熱感染を疑ったが、2人とも新型コロナだったとの気持ちが入り交じった。
デング熱は突然の高熱、頭痛、目の奥の痛み、結膜充血などで始まり、全身の筋肉痛や倦怠感、骨関節痛を伴い、発症後3~4日後からは胸部や体感から始まる発疹が四肢・顔面に広がるとある。また、悪心や嘔吐、林バ節の腫脹なども起こり、二つ以上の症状があれば感染の疑いがあるが、症状は1週間程度で回復するともあった。
だが、9日付G1サイト(3)には、デング熱の症状も良く知る看護婦が「デング熱のせいで娘半身不随になった」と語る記事も出ており、軽視してはならないとも思わされる。
その記事は2019年に15歳で感染した女性に関するもので、頭痛と発熱という初期症状でデング熱を疑った母親が自宅で介護し始めたが、嘔吐や腹痛、意識混濁も起きたために病院で受診したところ、「ただのデング熱」「彼氏と喧嘩したから重症のふりをしているだけ」と言われたという。
だが、意識混濁は脳神経科で扱うべき状態が起きた証拠と考えた母親がきちんと検査するよう頼んでいる間に発作が起きて入院。発作を抑えるための挿管後、昏睡状態に陥ったが症状は改善せず、3カ月後には脳死処置も始まったという。
幸い、その直後の発作で脳活動が戻ったが、髄膜脳炎のため、昏睡状態での7カ月を含む11カ月間の入院生活後に退院。視力や体の動きを失い、器具の助けを借りて呼吸し、食事もチューブを使う状態が続いている。
神経性デング熱は1~5%しか起きないが、眠気や精神的混乱、意識障害、イライラ、下肢の筋力低下や手足や顔面の麻痺などの症状を伴う時は神経性デング熱の可能性があるという。これらの症状は脳炎や脊髄炎、髄膜炎、髄膜脳炎、ギラン・バレー症候群によるもので、大抵はデング熱の症状が少し改善した頃に症状が出る。神経系の損傷を伴うと重篤になり、大半は回復不能だともある。
この記事を読んだ後は、デング熱罹患暦はないがギラン・バレー症候群を患った娘の友人が完治したのは診断と治療が早かったからと感謝すると共に、重症化を防ぐため、アスピリン系の薬を避け(7日付アジェンシア・ブラジルなど(4)(5)参照)、水分を十分に摂り、早めに診察と治療をと勧めたい。
患者急増で病院が満杯という状況下では二の足を踏む人もいるだろうが、新型コロナは隔離が必要になるし、デング熱や風邪も早期治療が大切。いずれの病気とも共生や共存が必要な中、自分と周りの人を大切にし、みんなで病気の波を乗り切りたい。(み)
(1)https://g1.globo.com/saude/noticia/2024/02/13/brasil-registra-500-mil-casos-de-dengue-em-2024.ghtml