ブラジルには、日本の大学別受験用参考書『赤本』のようなものは無く、書店に行ってみても受験用参考書の類いは並んでいない。なので、ブラジルの受験生は予備校から参考書を貰って勉強するのが一般的だ。
私の通った予備校では毎月、その月の授業に使う分の全教科の内容をまとめた参考書冊子を配布していた。
1冊目から3冊目までは基礎中の基礎が中心。数学では中学校3年生で習う三平方の定理が載っていた。4冊目から少しずつ難しくなり始め、7冊目では日本の数Ⅲの内容にあたる複素数平面などを扱っていた。
参考書には問題とその解説が載っているのだが、私が予備校に通い始めた時から、私の受けている夜間コースの参考書の解説部分が大幅に削減されることになった。解説は予備校のサイトやアプリに掲載されるとのことだったが、不具合がよく発生し、解説ページには中々アクセス出来なかった。
1カ月分の授業で使う全教科の内容を1冊にまとめたものだが、100ページぐらいの薄っぺらいもので、解説がないために理解しづらく不安が大きかった。予備校の参考書に頼った勉強の効率の悪さに気付いてからは、「このままでは絶対に落ちる…」と思うようになった。
その結果、途中からは、親が仕事仲間からもらってきてくれた医学部受験生向けの参考書を使って勉強するようになった。こちらはちゃんと解説や参考画像が豊富で理解がしやすかった。
だがA4サイズの参考書は1冊が550ページあり、重さは1キロ以上とずっしり。それを常時2冊ぐらい持ち歩くのでけっこうな重さになる。日本のコンパクトな参考書に慣れていると厚くて重い。しかも全科目が1冊に入っているので、特定の科目を勉強したい時にも不便だった。
女性がジムで使うダンベルが通常2~5キロだから、ほぼそれぐらいある。椅子に座ってばかりで運動不足になりがちな受験生の身としては、「ある意味、いい運動になる。体を動かして頭をリフレッシュ!」と前向きに捉えて持ち歩いた。
伝手があって助かったが、伯国でも、もう少し受験用参考書が普及して欲しい所だ。(松永エリケさん、続く)